2021 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモンと神経伝達物質のシグナルの統合による配偶子インテグリティ制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Ensuring integrity in gametogenesis |
Project/Area Number |
21H00226
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
丹羽 隆介 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 教授 (60507945)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ホルモン / 神経伝達物質 / 生殖幹細胞 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度に代表者は、(1)ショウジョウバエのメス生殖幹細胞の増殖を調節する複数の液性因子の情報のクロストークの研究、(2)食餌糖依存的なメス生殖幹細胞増殖のメカニズムの追究、そして(3)メス生殖幹細胞増殖クオリティマーカーの解析、以上の3点に取り組んだ。令和3年度においては特に(1)と(2)の研究が進展し、以下の成果を得た。 (1)においては、卵巣の生体外培養系を用いた実験により、それぞれのホルモンを卵巣に投与した際に惹起される生殖幹細胞の増殖が、それぞれのホルモンの受容体の変異体によってキャンセルされるかを検討した。その結果、生殖幹細胞増殖における複数のホルモンの作用には上下関係があることを見出すことに成功した。 (2)においては、これまでに代表者は、メス生殖幹細胞増殖の増殖には、食餌から糖を摂食することが重要であることを見出している。今年度は、糖依存的なメス生殖幹細胞の増殖は、糖が卵巣に直接作用しているのではなく、糖が腸内分泌細胞由来の Neuropeptide Fの分泌を調節し、このNeuropeptide Fが卵巣に作用していることを確認した。また、糖が腸からのNeuropeptide Fの分泌を調節する際に、腸内分泌細胞で発現する味覚受容体が重要であることを見出した。 一方、(3)については、マーカー候補遺伝子の発現解析により、一部の遺伝子については生殖幹細胞で強い発現が見られること、またその遺伝子ノックダウンによりメス生殖幹細胞の数の減少することを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テーマ(1)については、当初想定どおりに着実にデータを蓄積している。 テーマ(2)については、当初の計画以上に研究内容が進展しており、すでに論文化に向けた段階に移ることができている。 一方、テーマ(3)については、注目しているマーカー遺伝子の一部について遺伝子発現解析をまだ完了しておらず、当初初年度に完了させるべき部分に残された点がある。 以上、総合して判断すると、全体としてはおおむね順調に進呈していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度においても、令和3年度から研究方針を変えることなく、(1)ショウジョウバエのメス生殖幹細胞の増殖にあたり、複数の液性因子の情報のクロストークの研究、(2)食餌糖依存的なメス生殖幹細胞増殖のメカニズムの追究、そして(3)メス生殖幹細胞増殖クオリティマーカーの解析、以上の3点に取り組んでいく。 (1)においては、引気続き卵巣の生体外培養系を活用し、複数のホルモンのクロストークの詳細を追究する。また、それぞれの細胞種で各受容体遺伝子をノックダウンした際のfGSCの表現型を検討する。 (2)に関しては、主要なデータの取得はほぼ終えているため、成果の論文化に注力する。 (3)においては、令和3年度から継続して、マーカー候補遺伝子のメス生殖幹細胞で発現変動を解析する。また、研究(1)で注目する液性因子(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン、モノアミン)の機能低下個体におけるマーカー候補遺伝子の発現を検討し、液性因子がメス生殖幹細胞におけるマーカー遺伝子の発現に与える影響を検討する。
|
Research Products
(6 results)