2021 Fiscal Year Annual Research Report
精子インテグリティに関わる脂質分子の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Ensuring integrity in gametogenesis |
Project/Area Number |
21H00228
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 望 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (50451852)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精子完成 / TPCL |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 精子細胞におけるTPCLの産生機構の解明:これまでにTPCL はミトコンドリアには存在せず、小胞体/MAM に存在することを明らかにしている。興味深いことに、ミトコンドリア内のカルジオリピン合成酵素と類似の活性ドメインを持つ機能未知のMAM局在膜タンパク質Tmem269が伸長精子細胞特異的に発現していることを最近見出している。iGONAD法により当該分子 の欠損マウスを作製したところ、欠損マウスの精子形成に異常はみられず、またTPCL量にも変化がなかった。一方で、精巣のMAM画分には他の臓器にはみられないカルジオリピン合成活性が存在することが明らかとなった。 2. TPCLの精子形成における作用メカニズムの解明:これまでの解析から、TPCLが減少したマウスではCullin3活性化不全によるResidualBody排出異常を引き起こすことが示唆された。Cullin3の活性化にはCullin3複合体の構成因子やCullin3の制御因子が関わる。これらCullin3 関連タンパク質のTPCLが減少したマウス生殖細胞におけるMAM 局在を同様に調べた結果、Cullin3の活性化に関わる制御因子が減少していることを明らかにした。 3. 精子形成に特徴的な脂質の同定とその作用の解明:マウスの主要臓器を対象としたリン脂質リピドミクス解析から、精巣にはTPCL 以外にも特徴的なリン脂質分子種が存在していることを見出している。そこで、精子形成に特徴的なリン脂質分子種のさらなる探索・同定をおこなう。本年度はphosphoinositideの異性体を超臨界クロマトグラフィーで分離する系を作成し、精巣には他の臓器にはみられない飽和型のphosphoinositideが存在することをみいだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tmem269欠損マウスの作成・解析をおこない、精子MAMにカルジオリピン合成活性が存在することを見出した。またTPCLが減少したマウス生殖細胞MAMにおいてCullin3制御因子が減少していることを明らかにした。さらに精巣には他の臓器にはみられない飽和型のphosphoinositideが存在することを見出した。以上の理由から研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
TPCLの直接の産生酵素の同定をさらに解析するとともに、TPCLとCullin3制御因子の関係を明らかにする。
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Research Products
(15 results)