2021 Fiscal Year Annual Research Report
In vivoライブイメージングで迫る原始卵胞の不均一性と活性化機構の理解
Publicly Offered Research
Project Area | Ensuring integrity in gametogenesis |
Project/Area Number |
21H00237
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
加藤 譲 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 助教 (60570249)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マウス / 卵巣 / 原始卵胞 / in vivoライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖幹細胞を持たない哺乳動物のメスは最も未成熟な卵胞である原始卵胞を卵子の供給源として長期に渡り維持しつつその一部の卵胞成長を逐次的に活性化することで継続的に卵子を産生する。この哺乳動物特有の卵子産生機構の解明は生殖生物学における重要な研究課題であるだけでなく、早発卵巣不全に代表される女性不妊症の予防や病態解明、治療法の開発とも密接に関わる課題である。これまでに、分子生物学的な側面から原始卵胞の維持と活性化に関わる分子機構の理解が精力的に進められてきた。一方、卵巣内において原始卵胞がどのような挙動を示すのか?原始卵胞の活性化はどのように進行するのか?という疑問に対しては適切な研究手法が開発されてこなかったため、未解明のまま残されてきた。
本研究計画では、マウスをモデルに生体卵巣の原始卵胞を長期間観察するライブイメージング手法を開発し、原始卵胞の動態解明に迫ることを目的とする。そのために、以下の課題を設定した。(1)長期観察が可能なイメージング装置の開発、(2)原始卵胞を構成する卵母細胞、顆粒膜細胞を蛍光標識して可視化するマウスラインの開発。これらの技術・リソース開発のもと、(3)原始卵胞の動態観察と画像解析による様々なパラメーターの数値化。
本年度は課題(1)(2)に取り組んだ。(1)において、独自の観察装置を設計・開発し、これまでに48時間の連続観察を可能とする手法を確立した。並行して取り組んだ(2)において、卵母細胞、顆粒膜細胞それぞれを特異的に蛍光標識するマウスラインを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていたライブイメージング装置及び蛍光標識マウスは概ね開発することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、イメージング装置・蛍光標識ノックインマウスを予定通り開発し、これらを用いて48時間の連続観察が可能となった。この中で成長卵胞がより大きく成長する過程を捉えるなど観察系の有効性を確認することができた一方、原始卵胞の活性化を捉えるには至っていない。そのため、より長期の観察系の開発に取り組む必要がある。具体的にはイメージングにおけるマウスの栄養状態の改善を図る。マウスラインについては卵母細胞・顆粒膜細胞の特異的な蛍光標識に成功したが、顆粒膜細胞におけるシグナルはやや弱い。そのため画像解析による定量化を行うにはより強い蛍光を発するマウスラインが望ましい。そこで、トランスジェニックマウスとして顆粒膜細胞特異的に蛍光(GFP)を発する新たなマウスラインを開発する。これらの改善を施した後、原始卵胞の活性化を捉え、卵母細胞・顆粒膜細胞の動態を定量的に解析する。
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Research Products
(3 results)