2021 Fiscal Year Annual Research Report
サブテロメアクロマチンポテンシャル
Publicly Offered Research
Project Area | Chromatin potential for gene regulation |
Project/Area Number |
21H00244
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 純子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10323809)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 染色体 / クロマチン / テロメア / サブテロメア |
Outline of Annual Research Achievements |
線状染色体の末端ドメインであるテロメアに隣接してサブテロメアと呼ばれるドメインが存在する。これまでに我々は、サブテロメアの全DNA配列を世界に先駆けて明らかにし、ゲノム進化のホットスポットであることを明らかにしてきた。しかし、進化過程におけるサブテロメアのクロマチンや遺伝子発現の変化についてはほとんど明らかにされていない。そこで本研究では、特に生物の進化に着目し、サブテロメアのクロマチンポテンシャルの制御機構を解明することを目的として、進化(変化)の過程でサブテロメアのクロマチン状態や遺伝子発現はどのように変化してきたのか?という疑問を明らかにする。 1)分裂酵母のサブテロメアは進化の過程でどのように変化してきたのか? 野生株を様々な環境条件において培養し続け、サブテロメアが変化しやすい条件を探った。その結果、高温やDNA複製阻害、紫外線照射などによってサブテロメアの配列は変化しやすいことがわかった。さらに様々な遺伝子破壊株で継代培養をし、どのような遺伝子がサブテロメアの変化に関与しているかを解析中である。 2)ヒト科生物のサブテロメアDNA配列はどのように制御されているか? ヒト科生物の中で、ヒト以外の大型類人猿(チンパンジー、ボノボ、ゴリラ)はテロメアとサブテロメアの間にStSat配列の繰り返し領域をもつ。この配列の存在がサブテロメアDNAの安定性(変化)にどのような影響を与えているのかを探るため、StSatにおけるクロマチン状態を解析したところ、DNAのメチル化が高度に検出され、染色体凝縮に関わるヒストン修飾やヒストンH1.2の局在が顕著に見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分裂酵母、ヒト科生物における染色体末端構造の進化、それに伴なうクロマチン構造の変化について順調にデータが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、継代培養した分裂酵母のゲノム配列をlong read sequencerによって解析し、具体的にどのようにサブテロメアDNAが変化するのか解明する。さらに、その変化に伴ってサブテロメアのクロマチンがどのように変化し、分裂酵母としての機能(表現型)がどのように変化しているのかを解析する。また、ヒト科生物についても、各生物種において共通するサブテロメア遺伝子の発現、TERRAの発現の仕組みなどにどのような違いが生じているのか解析する。
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