2021 Fiscal Year Annual Research Report
High-resolution mapping of transcription-related non-canonical nucleosomes
Publicly Offered Research
Project Area | Chromatin potential for gene regulation |
Project/Area Number |
21H00255
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
加藤 太陽 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (40548418)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヌクレオソーム / ヒストン / ケミカルマッピング / 転写方向 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピジェネティック制御の根幹に関わるヌクレオソームは、従来、ヒストン8量体にDNAが巻きついた構造と考えられてきた。近年、ヒストンの構成とDNAの巻きつき具合、および他の因子との相互作用といった動的な変化が注目されてきているが、それらが細胞内の証拠によって十分に裏付けられているとは言い難い。本研究は、細胞内で転写と関連して生じる特殊なヌクレオソーム構造の証拠を塩基対解像度で検出し、それをゲノムのコンテクストで理解することを目指している。 研究実施計画に従い、新規ゲノムワイド・ケミカルマッピング手法の開発を行った。当初計画に加え、ゲノム支援のサポートを頂き、研究協力者の助けを得て、ヒストンサブユニットの数多くの変異体について、ケミカルマッピングを実施した。変異体ごとにカスタマイズの必要性があったが、ヒストンのCysアミノ酸残基依存的に起きた染色体DNAの切断を高解像度にマッピングする方法を確立できた。化学切断はヒストンの配置と密接に関連し、過去に解かれたヌクレオソームの立体構造の情報から予測される場所と合致する箇所で切断が起きることを確認した。転写領域におけるヌクレオソームの配置とヒストンCys変異による変異体特異的な切断を評価したところ、プロモーター側とターミネーター側で切断頻度が異なる傾向が見られた。このことから、真核生物の転写領域におけるヌクレオソーム構造には何らかの非対称性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を始めるにあたり、DNAがしっかりと巻きついたヌクレオソームを検出する系と、DNAの巻きつきが不完全でもヌクレオソームを検出できる系の比較から、転写領域におけるヌクレオソームの動的な挙動が示唆されていた。また、ヌクレソームの検出頻度とDNA配列の解析から、プロモーター側とターミネーター側でヒストンとDNAの関係性が異なる可能性が示唆されていた。本研究の結果は、これらの予備知見と密接に関連しており、転写領域におけるヌクレオソームの動的制御をさらに深く理解する手がかりを得たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
転写方向と関連したヌクレオソーム挙動の非対称性は非常に興味深い。しかし、ケミカルマッピングの技術的特性として局所のDNA配列で切断の選り好みがある様子が見えてきている。このため、単に切断頻度で判断するわけにはいかず、短い単位のDNA配列がどのように切断に寄与するのかを含めて検討を重ねていきたい。
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