2021 Fiscal Year Annual Research Report
脱ユビキチン化酵素の切断機構を活用した細胞内タンパク質発現制御法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | New frontier for ubiquitin biology driven by chemo-technologies |
Project/Area Number |
21H00271
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮前 友策 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30610240)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デグロン / タンパク質分解制御 / 脱ユビキチン化酵素 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者が独自に見出した、脱ユビキチン化酵素(DUB)の基質配列の改変による切断速度の調節現象と、小分子化合物応答性デグロンを組み合わせた方法論を構築し、新たなタンパク質発現制御ツールの確立を目指す。具体的には、小分子応答性分解誘発ドメインであるdestabilizing domain (DD)のC末端とPOIのN末端の間に、DUBによる緩やかな切断を受けるユビキチン(Ub)の部分配列を「タグリムーバー」として挿入したキメラタンパク質を用いる。この融合タンパク質は、細胞内に発現させるとDDの不安定性により速やかに分解されるが、DDに結合する安定化リガンドを添加することにより、DDの構造が安定化された後、次いで細胞内のDUBによりPOIがタグリムーバーのC末端から切断され、タグから解放されると考えられる。これにより、POIの発現量を細胞が本来有するありのままの姿で制御することが可能になる。標的タンパク質の発現並びに分解を翻訳後レベルで制御する手法は、基礎生物学ならびに医学分野への応用が見込まれる有用な分子ツールとして期待される。 令和3年度は、DUBの酵素活性に対して部分的に耐性を示すも、認識後に効率よく切断されるような配列の長さを検討し、最適な部分配列を同定した。また、タンパク質分解制御法としての基本的性能を検討するため、細胞質タンパク質、核タンパク質、膜局在タンパク質など様々な特性を持つタンパク質を対象として、システムが作動することを確認した。タンパク質のN末端の構造に寄っては、リンカーの挿入が有効であることも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、最適な長さの切断器質配列を同定し、様々なタンパク質への適用を検討することができたため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ゲノム編集技術を組み合わせることにより、内在性タンパク質の発現制御への応用が可能化検討する。
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