2021 Fiscal Year Annual Research Report
Structural biology of branched ubiquitin chain recognition using enzymatic and chemical reactions
Publicly Offered Research
Project Area | New frontier for ubiquitin biology driven by chemo-technologies |
Project/Area Number |
21H00283
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐藤 裕介 鳥取大学, 工学研究科, 講師 (50568061)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユビキチン / ユビキチン鎖 / 半合成 / X線結晶構造解析 / プロテアソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチン化は翻訳後修飾の一つで、基質タンパク質に存在するリジン残基のアミノ基とユビキチンのC末端が共有結合を形成する事で、多様な細胞機能を制御する。さらに、ユビキチン自身に存在する7つのリジン残基に加えてN末端のアミノ基がユビキチン化修飾を受けることで、数珠つなぎになったUb鎖が合成される。どの残基を用いてユビキチン鎖が連結するかによって異なるデコーダー分子に認識されるため、その機能は異なる。これら8種類の残基のうち1種類を用いて繋がったUb鎖の機能と構造については解析が進んでいるが、ユビキチン鎖が途中で分岐したもの(分岐鎖)については未解明な点が多い。本研究では、酵素反応に加えて化学的手法を駆使して分岐鎖を大量に合成する手法を確立し、X線結晶構造解析により分岐鎖特異的に認識する酵素と分岐鎖との複合体の立体構造を決定することで、分岐鎖の認識メカニズムを原子レベルで解明する事を目的とする。 現在までに、K6/K48、K11/K48、K48/K63で分岐した分岐鎖の大量調製に成功し、さらに、K6/K48分岐鎖に対して特異的な切断活性を有すると報告されていたプロテアソームのサブユニットUCH37-RPN13複合体が、本研究で調製したK6/K48分岐鎖に対して特異的な切断活性を有する事を確認した。さらに、UCH37単独ではK6/K48分岐鎖だけでなく、K48で連結されたユビキチン鎖も切断される事を発見した。これは、UCH37がRPN13と結合することにより分岐鎖特異的な切断活性を得ることを示している。分岐鎖特異的な切断活性が確認できたため、続いてUCH37-RPN13とK6/K48分岐鎖との複合体の結晶化のため、両者を混合して結晶化を行ったが、現在までに結晶は得られておらず、異なる手法を用いる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通り、酵素反応を用いた分岐鎖の大量調整方法を確立し、UCH37-RPN13複合体がK6/K48分岐鎖特異的な切断活性を有することを確認した。さらに、UCH37単独では分岐鎖だけでなく、K48のみで連結されたユビキチン鎖に対しても切断活性を有するということを発見した。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに分岐鎖の大量調製方法を確立することに成功し、UCH37-RPN13による分岐鎖特異的な切断活性を確認することは成功した。今後はUCH37-RPN13複合体とK6/K48分岐鎖との複合体の結晶構造決定を目指す。単純に両者を混ぜただけでは結晶化まで至らない事はすでに確かめているため、今後は使用するサンプルの生物種をヒトからゼブラフィッシュに変更する、UCH37やRPN13と分岐鎖を連結することで、結晶化を助ける、などの異なる手法で、構造解析を目指す。
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Research Products
(6 results)