2021 Fiscal Year Annual Research Report
近接ビオチン化酵素を用いたPROTAC依存的なインタラクトーム解析技術の開発
Publicly Offered Research
Project Area | New frontier for ubiquitin biology driven by chemo-technologies |
Project/Area Number |
21H00285
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山中 聡士 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 特定研究員 (50853884)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PROTAC / タンパク質分解 / ユビキチン / 近接ビオチン化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、AirID-CRBNを用いた培養細胞内におけるPROTAC依存的なCRBNの標的タンパク質ビオチン化の条件検討を行なった。特に、PROTACは処理する濃度が非常に重要であることが報告されているため、PROTACの処理濃度や処理時間の最適化を行なった。具体的には、AirID-CRBNを安定発現する多発性骨髄腫培養細胞株を用いて、BETタンパク質に対するPROTACであるdBET1やARV-825を濃度依存的に投与し、BETタンパク質のビオチン化に最適な条件を ストレプトアビジンPull-down法によって検討した。 既にビオチン化ペプチド質量分析法によってMM1.S細胞内におけるサリドマイド誘導体依存的な相互作用解析を行い、既報のネオ基質であるIKZF1や IKZF3のビオチン化ペプチドの検出に成功していたため、MM1.S細胞内におけるdBET1やARV-825依存的な網羅的な相互作用解析を行った。さらに、サリドマイド誘導体やTarget binderであるOTX015を用いた競合実験を行うことによって、得られた相互作用タンパク質がサリドマイド誘導体に起因しているタンパク質であるのか、Target binderに起因 しているタンパク質であるのかを解析した。 最適化した条件を用いて、質量分析法を組み合わせることで、近接ビオチン化酵素を用いたPROTAC依存的な相互作用解析技術を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を用いた詳細な解析を行うことで、当初の計画における第一目標であったPROTAC依存的な相互作用解析技術の開発を達成することに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 新規相互作用タンパク質のPROTAC依存的な相互作用解析およびタンパク質分解の評価 これまでの解析から見出された相互作用候補タンパク質を対象に、AlphaScreen法を用いた生化学的な相互作用解析を行う、また、見出した新 規相互作用タンパク質がPROTAC処理によって分解されるかをImmunoblotによって解析する。 2) 新規相互作用タンパク質のPROTAC応答における役割の解析 1)で見出したPROTAC依存的に分解される新規相互作用タンパク質が分解されることによって引き起こされる、薬効および副作用の解析を行う。 具体的には、分解された新規相互作用タンパク質が関与する生命現象および下流に位置するタンパク質の機能解析等を行うことによって、見出 した新規標的タンパク質の分解がどのような表現型を示すのか明らかにする。 3) PROTAC依存的に分解誘導されず相互作用のみを行う新規タンパク質の細胞生物学的解析 1) で見出したPROTAC依存的に分解されない新規相互作用タンパク質を対象に、PROTAC依存的に相互作用することによる新規相互作用タンパク 質の機能への影響を評価する。具体的には、新規相互作用タンパク質の酵素活性等を解析し、PROTACによる影響を評価する。また、新規相互作 用タンパク質の機能に影響を与える場合は、PROTACの薬効や副作用にどのように関与しているのかを解析する。
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