2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the chemical compounds targeting deubiquitinating enzyme for protein regulation
Publicly Offered Research
Project Area | New frontier for ubiquitin biology driven by chemo-technologies |
Project/Area Number |
21H00287
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 宏隆 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (70432804)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | USPファミリー脱ユビキチン化酵素 / 阻害剤 / タンパク質ノックダウン / タンパク質量制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
1-1. USPの活性阻害剤による標的タンパク質の分解誘導評価・・見出したUSP阻害化合物S-02について、培養細胞を用いてUSP15の主な標的であるE3リガーゼTRIM25のタンパク質量やユビキチン化量、さらにはTRIM25の下流因子であるRIG-Iによるインターフェロン(IFN)シグナル伝達について評価した。その結果、S-02処理細胞においてUSP15の活性阻害に起因すると考えられるTRIM25の不安定化や、TRIM25によって誘導されるIFNシグナル活性化のキャンセルが認められた。これらの結果から、USP活性阻害化合物によるタンパク質のノックダウン技術のproof of conceptを得ることができた。 1-2. PROTAC技術によるUSP分解誘導剤の作製・・S-02は化合物構造上の問題で、PROTAC化が容易ではなかった。そこで、PROTAC化が可能なS-02の類縁体化合物の探索を行なった。その結果、S-02と同等の阻害効果やDUB特異性を有し、PROTACが比較的容易と考えられる側鎖を有する誘導体を見出した。現在、この化合物を中心にPROTAC化を進めている。 1-3. S-01およびS-02の類縁化合物の評価・・これまでの結果から、S-01やS-02は広範なUSPファミリーのDUBを阻害することが明らかとなっている。またIC50も数μMと阻害活性にも改善の余地があった。そこで、より高い特異性や阻害効果を示すS-01やS-02 の探索を行なった。東京大学創薬機構が保有する約100種類のS-01やS-02の類縁体化合物について、これら全てのUSP15への阻害効果をin vitroで評価したその結果、10種類の化合物において、S-01やS-02と同等かそれ以上の阻害効果を示した。これらについて、現在詳細な阻害活性や特異性の評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TRIM25とその下流のIFNシグナル伝達をモデルとした実験から、USP15阻害化合物S-02によるUSP15の阻害およびTRIM25の不安定化、それに付随するTRIM25依存的なIFNシグナル伝達活性化の阻害が認められ、DUBの活性阻害を標的としたタンパク質分解のproof of conceptを得ることができた。またS-02の誘導体化合物の中に、S-02と同等のUSP15阻害活性を示す化合物を10種類程度見出すことができ、これらは今後のPROTAC化への検討や、化合物構造とUSP阻害との相関などの有用な情報となり得る。 一方で、計画していたPROTAC化は遅れており、R4年度での開発が急務であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度は以下の実験を計画している。 1-1.USPの活性阻害剤による標的タンパク質の分解誘導評価・・前年度にタンパク質分解誘導剤としての機能が評価されたS-01やその誘導体を中心に、USP15や他のUSPが標的とする他の標的タンパク質の量の変化について検討する。またUSP15によって悪性化が誘導されている細胞株を用いて、S-02による細胞増殖抑制効果を評価する。 1-2.PROTAC技術によるUSP分解誘導剤の作製・・同じく新学術領域ケモユビキチンに属する東京工業大学のアンバラ・プラディプタ先生との共同研究で、S-02やその誘導体化合物をベースに、CRBNとのキメラ化合物によるPROTAC化を進める。得られた化合物がUSP15とCRBNの結合を誘導するかを、コムギ無細胞系で合成したUSP15とCRBNの組換えタンパク質を用いてAlphaScreenによるin vitro結合アッセイで簡便かつ迅速に評価する。 1-3.S-01およびS-02の類縁化合物の評価・・前年度に得られたS-01やS-02の誘導体化合物について、DUB特異性の評価やPROTAC 化の可否について検討する。また高い阻害活性を示す化合物について、鳥取大学・佐藤裕介先生との共同研究でUSP15との共結晶構造を明らかにする。得られた結合や阻害様式などの情報をもとに、さらにDUB特異性や阻害効果の強い化合物の開発を目指す。
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