2021 Fiscal Year Annual Research Report
ナノボディーによる標的ユビキチンリガーゼ複合体の細胞内動態の理解と応用
Publicly Offered Research
Project Area | New frontier for ubiquitin biology driven by chemo-technologies |
Project/Area Number |
21H00288
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 史代 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50837151)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノボディ / LUBAC / 直鎖型ユビキチン鎖 / 生化学的手法 / タンパク質精製 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の翻訳後修飾の一つであるユビキチン化はあらゆる生物学的効果に重要である。複数のユビキチン分子は、8つの型で結合することにより鎖ができる。その中で、直鎖型ユビキチン鎖は、炎症、感染や免疫の制御に重要な役割を果たす。この直鎖型ユビキチン鎖は、ユビキチンリガーゼ複合体LUBAC により誘導されるが、LUBAC構成因子の細胞内動態、組織や細胞種特異的なシグナルネットワークの形成とその生物学的効果については不明な部分が多い。本研究では、申請者のチームが独自に取得した単量体、単一ドメインの小分子であるナノボディーを基盤とした分子ツールの開発とLUBAC の新規制御メカニズムの解明を目指している。 1年目の実績は以下の通りである。LUBAC複合体を構成する3つの分子に対する複数のナノボディークローンのうち、ELISA解析により結合スコアの高いものから各3つを選択した。これらについて、E.coliを用いた系でHis-trapカラム、SECを用いて、効率よくタンパク質精製することができた。精製したタンパク質を用いて、それらの生化学的特徴を検討するため、in vitroユビキチン化アッセイを行った。その結果、in vitroにおいては、ユビキチン化を促進させるクローンや、ユビキチン化には影響を与えないクローンが存在することが分かった。さらに、LUBAC複合体構成因子のうちHOIL-1Lに対するクローンについては、抗原との結合を検討し、また細胞内でGFP融合タンパク質として発現させるためのプラスミドを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の実験計画の以下の2項目について、概ね順調に進展している。 研究項目1.抗LUBAC 構成因子ナノボディークローンの生化学的特徴の解析と分子ツールの開発 ナノトラッピングに使用するためのHOIP、HOIL-1L、SHARPIN の各構成因子に対するナノボディタンパク質を精製する系を確立し、生化学的解析に適したタンパク質を精製した。
研究項目2.ナノボディーによるLUBAC活性の制御と生物学的効果への影響の解析 各クローンの標的分子との結合部位を解析するために必要な結合能の測定を行った、また、in vitro 直鎖ユビキチン化の活性への影響も解析した。さらに、細胞内シグナルを解析するための発現プラスミドの構築を終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行った生化学的解析結果を基盤として、2年目の研究推進方策は以下のものとする。
研究項目1.抗LUBAC 構成因子ナノボディークローンの生化学的特徴の解析と分子ツールの開発 初年度の解析から生化学的特徴の解析が進んだクローンについて、抗原との結合部位の同定を行い、酵素活性制御のメカニズムをさらに検討する。また、LUBAC 活性レベルや結合分子について細胞種や組織間での違いを検討するための分子ツールの効率化を図り、利用する。 研究項目2.ナノボディーによるLUBAC活性の制御と生物学的効果への影響の解析 初年度の解析から、in vitro 直鎖ユビキチン化の活性への影響を示したクローンについて、細胞内で発現を調整し、炎症性細胞内シグナルへの影響を解析する。
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Research Products
(14 results)