2021 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive testing of dopamine clock hypothesis using multi-site dopamine imaging
Publicly Offered Research
Project Area | Chronogenesis: how the mind generates time |
Project/Area Number |
21H00311
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小澤 貴明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (90625352)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時間 / ドーパミン / 報酬 / 予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経伝達物質であるドーパミンは、主観的な時間経過を制御していることが知られており、ヒトおよび実験動物におけるこれまでの研究から、「脳内ドーパミンレベルの上昇は主観的時間経過を加速させる」という「ドーパミン時計仮説」が提唱されてきた。しかし、最新の研究において、ドーパミン神経の活動は主観的な時間経過を早めるのではなく、むしろ遅くさせる可能性が示唆されたことから、より詳細な検討が可能な実験技術を用いたドーパミン時計仮説の再検証の必要性が高まっている。本年度は、実験動物において時間知覚を評価することができる行動課題を確立するため、「時間経過に基づく報酬予測課題」における動物の報酬希求行動を解析した。2種類の異なる音手がかりを提示した後、一定時間経過後(例:3秒あるいは6秒)に給餌チューブを舐めると、そこから液体エサ報酬が与えられる課題の訓練を行った。その結果、訓練が進むにつれ、マウスは音手がかりに応じて、異なるパターンの予測的なチューブ舐め行動を示すようになった。すなわち、3秒条件では、予測的舐め行動は音提示後から漸増し、3秒付近をピークとしていた。一方、6秒条件では、舐め行動のピークは6秒付近であった。これらの結果は、マウスが音手がかりを弁別し、時間経過に基づいた異なる報酬予測行動を行っていることを示唆する。また、課題遂行中の脳内ドーパミン変化を記録するため、蛍光ドーパミンセンサーと多点同時フォトメトリーイメージグを用いた「多点同時ドーパミン計測法」を確立するための予備実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中核となる行動課題について、多くの有益な基礎データが収集できた。また、ドーパミンイメージング実験に必要な蛍光センサーの実用性を確認し、多点同時フォトメトリー法についても基本的な技術を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
動物の時間知覚について、予測的な報酬希求行動の解析に基づいた研究を引き続き行っていく。また、蛍光ドーパミンセンサーを用いたイメージングを行うことによって、課題遂行中の動物の脳内におけるドーパミン放出動態についての解析を進める。さらに、光遺伝学を用いた神経活動操作技術を用いて、脳内ドーパミン放出と動物における時間知覚の因果関係についても検討する。
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Research Products
(15 results)