2021 Fiscal Year Annual Research Report
四脚動物の肩部ハンモック構造から切り拓く即時適応的な柔剛調節メカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Soft Robot: interdisciplinary integration of mechatronics, material science, and bio-computing |
Project/Area Number |
21H00318
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福原 洸 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (10827611)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | soft robot / quadruped robot / flexible shoulder / anatomy |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では,動物の解剖学的特徴を取り入れた四脚ロボットモデルを構築し,シミュレーションとロボット実機検証の両方を進めた.シミュレーションでは,四脚動物が高速走行時に示すgallop歩容やbound歩容において,前肢基部の柔軟性が走行速度・移動エネルギ効率にどのような影響を及ぼすのかを検証した.その結果,歩容に応じて効率的に走行可能な前肢基部の剛性は異なるということが示唆された.例えば,歩行運動では前肢基部が適切に柔らかいことが移動に有利に働いたが,bound走行では重心の位置を素早く上昇に転じさせるために,前肢基部は剛である方が有利であることがシミュレーション結果から示唆されている.これは,状況依存的に剛性を調整可能な制御則を構築するうえで,重要な知見となることが期待できる. また,動物の前肢基部の柔軟性が果たす機能を3次元的な運動を含めて理解するために,ネコの大まかな筋配置を模したロボット実機を構築し,足踏み動作による挙動検証を行った.肩甲骨に相当する前肢基部が体重支持期に背中側へ伸展しつつ,横断面上に回転する振る舞いが観察された.今後,3次元的な前肢基部の可動性が様々な運動タスクにおいてどのような影響があるのかを検証予定である. 3次元運動の候補として左右方向の姿勢安定性(lateral stability)について,よりシンプルなロボットモデルを構築し検討を進めている.当該年度では,横方向への強い外乱に対して,各身体部位の変位や力などの情報に基づき横方向へと足を踏み出すよろめき動作の再現を目指し,ロボットプラットフォームをいくつか試作を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,肩の柔軟性と運動タスクへの影響を矢状面上の運動に限って検証し,適応的な柔剛調整メカニズムを構築・検証予定であった.しかしながら,研究を遂行するなかで,矢状面上の運動のみならず横断面上の運動を含めた現象の理解が重要であると判断し,制御則の構築よりも,多自由度ロボットの構築と検証を優先して,研究を遂行した. 次年度は当該年度に前倒して構築したロボットプラットフォームを用いて,自律分散型の柔剛調節制御の構築や検証を進め,制御則の物理リザバーコンピューティングへの展開に取り組む.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度で構築したロボットプラットフォームを用いて,自律分散的な柔剛調整メカニズムの構築と検証を行う.歩行・走行運動においては,当該年度で明らかとなった適切な前肢基部柔軟性の傾向を再現できるかをシミュレーション・ロボット実機実験による検証する. また,矢状面上のみならず,横断面上における運動への貢献も調査する.具体的には,左右方向のバランス(lateral stability)に着目し,構築する柔剛調節制御の姿勢バランス問題への応用性を検証する. さらに,物理リザバーコンピューティングとしての当該システムの可能性を検討する.ロボットに実装する弾性体(ゴム紐やゴム膜)に対して,銀ナノインクの塗布などによるセンサ機能を実装するなどして,ロボットプラットフォームの改良を進める.
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