2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞が棒状機材を操作することで作るしなやかなヒレの形態形成原理
Publicly Offered Research
Project Area | Science of Soft Robot: interdisciplinary integration of mechatronics, material science, and bio-computing |
Project/Area Number |
21H00327
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒田 純平 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助教 (80726521)
|
Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
|
Keywords | 形態形成 / 鰭 / バイオイメージング / 細胞外マトリックス / コラーゲン / 骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の器官、特に移動に関わる手足やヒレ、羽などの外部器官は、「しなやか」で「柔軟」な動きを必要とする。これらの器官を作っているのは、やわらかな細胞と、コラーゲンなどの非細胞素材だが、小さな細胞達がどのようにして自身のスケールをはるかに超える構造を正確に構築し、機能的な運動器官を作り上げるのか、その仕組みはほとんど明らかにされていない。 本研究課題では、水生生物が持つ「ヒレ」の形態形成をモデルに、しなやかな運動器官の形態が構築される原理を明らかにすることを目的とした。具体的には、「魚類」「毛顎動物」「軟体動物」の3つの生物種のヒレに着目した。 本年度は、小型魚類の優れたモデル生物であるゼブラフィッシュを使って、魚類ヒレの骨格形成に必須なコラーゲンの構造体・アクチノトリキアと、アクチノトリキアを取り囲む細胞群をライブで観察する系を確立させた。この実験系を用いて、ヒレ成長過程でアクチノトリキアには間葉系細胞と破骨細胞の2つの細胞群がアクチンリッチな仮足を伸ばして巻きついており、ヒレ組織内でアクチノトリキアを物理的に動かす作用があることを見出した。 研究代表者が注目した毛顎動物であるヤムシ、及び軟体動物・翼足類はその発生は謎が多くヒレの形態形成原理はほとんど明らかにされていない。研究室内でヒレの発生過程を調べる実験系を立ち上げることをまずは第一の目標として、ヒレ形成初期の幼若個体の飼育を試みた。本年度は成熟したヤムシ個体のサンプリングを行い、また成熟ヤムシから得られた胚を発生させた後、研究室内でヤムシ幼生の飼育に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題が半期遅れで開始したこと・研究代表者の所属機関が途中変更となったことが原因で研究を計画通りに実施することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
軟体動物・翼足類の幼若個体を研究室の環境で飼育することは現段階では困難なため、サンプリングを行った後フレッシュな状態で固定し、各ステージごとにヒレ組織を共焦点顕微鏡、2光子顕微鏡で観察する計画をしている。ヒレの深部の構造を細胞レベルで高解像で捉えるために、透明化処理を行う必要があるため、組織の変形が少なく、細胞のマーカーとなる各種蛍光試薬が退色しないような適した透明化処理の条件を検討したい。
|
Research Products
(3 results)