2021 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of the eating habits of the Japonesians by proteomics,
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering Origin and Establishment of Japonesians mainly based on genome sequence data |
Project/Area Number |
21H00343
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西内 巧 金沢大学, 疾患モデル総合研究センター, 准教授 (20334790)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロテオミクス / 土器付着物 / 糞石 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに土器付着物等に残存するタンパク質を同定するプロテオーム解析の実験系を確立しており、本年度は異なる遺跡から出土した多数の土器付着物を用いてプロテオーム解析を実施した。解析の結果、複数の試料からイネやマメの植物グロブリン等の種子貯蔵タンパク質を検出した。これらには、熱耐性、乾燥耐性、プロテアーゼ耐性等の特徴を持つ比較的安定なタンパク質が多く、古代人が食していたと思われる穀物種の同定に利用することで、食性復元に重要な知見をもたらすと考えられる。 植物片を含む噴石様の試料を用いて、プロテオーム解析を行ったところ、ヒト由来のタンパク質(ケラチン以外)に加えて、乳酸菌等の腸内細菌由来のタンパク質が多く検出された。また、オオムギ由来のタンパク質が多数検出され、噴石に含まれた植物片はオオムギであることが強く示唆された。保存状況の良い噴石であれば、同様の解析が可能であり、古代人の食性復元に重要な知見をもたらすと考えられるため、今後も解析を進めていたきい。 廃棄後数十年経過した発酵食品の醸造壺の付着物を用いてプロテオームを実施したが、原料や発酵に関わる微生物由来のタンパク質は検出されなかった。発酵食品については経年により比較的短期間で他の微生物等にタンパク質が分解され、分析が難しい可能性が示唆された。 実験系については、フィルタアシストによるサンプル調整法(FASP法)の改良を試み、出土試料の抽出液からタンパク質を精製せずに限外濾過膜に結合させて、膜上でトリプシン消化を行うことにより、多くのタンパク質を同定することに成功しており、今後は改良FASP法も用いて解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる遺跡から出土した土器付着物を分析することで、複数の試料から穀物由来のタンパク質を同定し、古代人が食していた穀物種の同定が可能となったこと。また、噴石のプロテオームからも乳酸菌を含む多数の腸内細菌由来のタンパク質や穀物由来のタンパク質が同定されたことから、多様な出土試料を用いたプロテオーム解析が順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
土器付着物は、今後も多様な試料を用いて分析を行い、穀物等の作物由来のタンパク質の同定と動物由来のタンパク質の検出を行う。特に穀物由来の種子貯蔵タンパク質の検出に着目して解析を進める。糞石等の多様な試料の解析にも可能な限り取り組むことで、古代人の食性復元を試みる。
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