2021 Fiscal Year Annual Research Report
古人骨新資料発見への取組と既出土人骨の資料化による南九州南西諸島域の人類史の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering Origin and Establishment of Japonesians mainly based on genome sequence data |
Project/Area Number |
21H00351
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Research Institution | Kagoshima Women's Junior College |
Principal Investigator |
竹中 正巳 鹿児島女子短期大学, その他部局等, 教授 (70264439)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 成川遺跡 / 湾屋川原遺跡 / 沖永良部島 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年に続き、南九州南西諸島の地域において、古人骨資料の時代的・地域的空白を埋めるために指宿市の成川遺跡(弥生~古墳時代)、沖永良部島知名町のイクサイヨー洞穴遺跡および徳之島湾屋地区岩陰の発掘調査を行った。下記のとおり、新たな古人骨が出土した。 ◎成川遺跡2021年調査の成果(2021年8~9 月実施):・新たに7基の墓(再葬墓1基,土壙墓6基)と古墳時代後期の祭祀跡を検出できた。墓は重層的に造られている。墓壙内に、副葬品は遺存していない。・今後、埋葬人骨のC14年代測定を行い、墓の造られた年代を解明したい。・今回検出した下層の墓が検出された土層レベルには弥生中期から後期の土器が検出されている。弥生時代の墓である可能性も十分考えられる。・2021-1号墓人骨の保存状態は比較的よい。 ◎イクサイヨー洞穴遺跡2021年調査の成果(2021年12月~2022年1月実施)・2つのトレンチを設定し、掘り下げた。・1トレンチからは、鏡、先史時代の土器と人骨が出土。・2トレンチからは、先史時代の人骨、貝製品(貝輪等の装飾品)および土器片が出土。 ◎湾屋川原遺跡の発掘調査の成果(2022年1月実施):トレンチ(1つ)を設定し、掘り下げた。曽畑式土器の包含層中から火葬人骨片が検出された。 ◎南九州から奄美群島地域からこれまでに出土した古人骨の中で、鹿児島県内の教育委員会に保管されているが、所属年代が明確でなかった古人骨(沖永良部島:知名町イクサヨー洞穴遺跡出土人骨・知名町鳳雛洞遺跡出土人骨,徳之島:湾屋地区岩陰出土人骨,種子島:西之表市田之脇公民館保管人骨・西之表市小浜貝塚出土人骨)について年代測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3遺跡の発掘調査を行ったが、すべての調査で古人骨が出土した。そのため、南九州本土の古墳時代人と南西諸島の中世人に関する古人骨研究が人骨形態からも、DNA研究からも、また年代測定研究からも進展する可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、既に出土している南九州から奄美群島にかけての地域の所属年代不明古 人骨資料について、年代測定を行ない古人骨研究に用いることができるよう古人骨資料の1次資料化に努める。 成 川遺跡(鹿児島県指宿市:弥生~古墳時代)の発掘を行い、古墳時代の南九州の人々に形質変異があったのか、形態と遺伝子分析から検討し、縄文人、渡来系弥生人や種子島広田弥生人など南西諸島先史人との繋がりを追求する。また、イクサィヨー洞穴遺跡(沖永良部島)、湾屋川原遺跡(徳之島)の発掘を継続して行い、奄美群島の人類史復元を進める。
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