2021 Fiscal Year Annual Research Report
比較ゲノム解析からたどる日本猫の起源
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering Origin and Establishment of Japonesians mainly based on genome sequence data |
Project/Area Number |
21H00357
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Research Institution | Anicom Specialty Medical Institute Inc |
Principal Investigator |
松本 悠貴 アニコム先進医療研究所株式会社(研究開発課), 研究開発課, 研究員 (40831384)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イエネコ / 日本猫 / ゲノム / 歴史 / ツシマヤマネコ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では申請時の予定の通り、①日本産のイエネコの検体採取、②ゲノム解読、および③予備解析を行った。①北海道から沖縄までの全国各地の動物病院に協力いただき、100頭から研究目的でない避妊去勢手術で得られた組織片もしくは血液を収集した。②このうち36頭からDNAを抽出し、Illumina社のNovaSeq6000により全ゲノム配列解読を行った。③共同研究者から提供された13頭、ゲノムデータベースにある15頭のゲノムデータを追加し、64頭の全ゲノムデータを用いて予備解析を行った。 予備解析では、シーケンスを実施した配列の生データの品質管理、参照配列へのマッピング、変異検出について条件検討を行うとともに、主成分分析、集団史の推定を行った。主成分分析の結果、九州の集団は他の地域の集団と比べ、個体間の遺伝的なばらつきが大きかった。一方、北海道の集団はばらつきは小さかった。また、集団史の推定を行った結果、現段階では、先行研究の考古学的な観点からの研究結果と矛盾しない結果が得られている。次年度では統計モデルについてさらに条件検討を行い、日本猫の歴史の解明に向けて本格的に解析を進める。 また、本年度では申請時の予定にはなかったが、日本猫の近縁な野生種であるツシマヤマネコにおいてもゲノム解析を行った。予備検討の結果、ツシマヤマネコでは他のベンガルヤマネコと比べ、近親交配の程度が高いことが分かった。また、よこはま動物園ズーラシアと共同で進めていた親子判定のためのゲノム解析により、父親が不明だった個体の父親の推定を行った。 以上の成果は国際学術誌1報、国内学術会議等での発表2件、一般向けの情報誌での記事1報、新聞記事の取材対応等の成果に繋がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、本年度では検体採取、ゲノム解読、予備検討を進め、国内学術会議等での発表2件、一般向けの情報誌での記事1報、新聞記事の取材対応等の成果に繋がっている。 また、当初の予定にはなかったものの、日本猫の近縁な野生種であるツシマヤマネコにおいてもゲノム解析を行った。よこはま動物園ズーラシアと共同で進めていた親子判定のためのゲノム解析の結果が国際学術誌Animalsで出版に至るなど、当初の計画以上に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度で実施した条件検討を進めながら、最終的な条件を決定したのち、成果の論文化を目指す。また、古代のイエネコの考古資料や、野生のネコ科動物においてもゲノム解析を進める予定である。
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