2021 Fiscal Year Annual Research Report
The principle of structural rationality hidden in hollow stem plants
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of the strategies of mechanical optimization in plants toward the establishment of the bases for sustainable structure system |
Project/Area Number |
21H00362
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
島 弘幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40312392)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 植物模倣科学 / 力学的安定性 / タケ / イネ / フキ / 中空円筒 / シェル理論 / 断面特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
中空円筒型の茎構造をもつ植物種の力学機能を深く理解し、それらの中空植物種が進化の過程で獲得したであろう「最少材料・最大強度」の設計原理を解明することを目的に、野生のサンプルに対する形態測定とそのデータ解析を行った。中空植物種の代表格であるタケに関しては、複数種にわたるタケのサンプルを国内の竹林で伐採取得し、地際から先端までの稈径・肉厚・節間長に関する実測データを取得した。それらの実測データをもとに、タケ稈の力学特性を決定する断面諸量を算出した。それらのデータを竹の全高で規格化し、横軸を規格化された地上高さ、縦軸を規格化された各節間の細長比としてプロットした。具体的には、地際から数えてk番目の節間よりも下部にある稈全体を、k番目の節位置における稈径の値を円筒直径として有するひと繋がりの中空円筒とみなし、この有効的中空円筒の細長比と地上高さとの関係を調べた。その結果、種の違いによらず全てのデータ点が共通の曲線に載ることがわかった。この結果は、タケの長手方向に沿った節間成長が、タケの座屈強度と曲げ強度に関する最適条件を見事に満たしていることを示すものである。おなじく中空茎植物の一種であるイネについても、複数種のイネに対して横風をあてる風洞実験を行い、イネの倒伏耐性とイネの形態との関係性を調べた。その結果、イネの稈が太いほど倒伏耐性が強いという従来の理解と反して、稈の形態によって耐性を高める種と、稈の剛性によって耐性を高める種の二通りが存在することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染の拡大を受けて、野外調査による植物の一次データ取得が極めて困難となり、研究計画の大部分を延期せざるを得なかった。その対策の一環として、過去に取得した採寸データをもとに、植物の形態を特徴づける新しい指標の提案を模索し、一定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに多数の種にわたるタケ形態の実測データを蓄積するとともに、通常の円筒形状と異なるシホウチクやキッコウチクなどの特異形態を有する種のタケについても、同様の測定と解析を進め、タケ稈の力学特性を決定する断面諸量を算出する。イネについても、次年度の秋までに成長したイネ稈に対して風洞実験を行い、イネの倒伏耐性に関する現状の仮説の真偽をさらに精査する。
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Research Products
(12 results)