2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞壁の力学的特性に注目したガス交換モジュールが構成するシステム構造の最適化
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of the strategies of mechanical optimization in plants toward the establishment of the bases for sustainable structure system |
Project/Area Number |
21H00367
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水谷 未耶 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 学振特別研究員(PD) (90836280)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞間隙 / 細胞壁 / 環境適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、間隙と孔から成るガス交換組織の構造最適化について理解するために、苔類ゼニゴケの間隙(気孔)と孔(気室孔)をモデルとして用い、間隙発生の分子機構解明、細胞壁の物性分析による孔の開閉制御機構の解明を行うことで、ガス交換系の機能最適化の仕組みを解明する。それを踏まえて環境に応じたガス交換組織の最適化された構造を理解することを目指している。 本研究では、苔類ゼニゴケの孔(気室孔)と間隙(気孔)をガス交換系のモデルとして用い、間隙発生の分子機構解明、細胞壁の物性分析による孔の開閉制御機構の解明を行うことで、ガス交換系の機能最適化の仕組みを解明する。それを踏まえて環境に応じたガス交換組織の最適化された構造を理解することを目指している。 前年度は間隙の発生を抑制する因子などが単離できたこと、その因子の発現量を調節することで、間隙の密度を変化させた植物体を作成することが出来た。また、多様性をもつ近縁種を入手し、ガス交換効率測定の条件が確立されつつある。このことから研究はおおむね順調に進んでおり、今年度は因子のさらなる機能解析をすすめるとともにこれらの植物体のガス交換効率や水分損失を測定することで、間隙の密度やガス交換系のパーツが持つ機能を明らかにし、環境適応に最適な構造を理解することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ゼニゴケの孔と間隙をガス交換系のモデルとして用い、間隙発生の分子機構解明、細胞壁の物性分析による孔の開閉制御機構の解明を行うことで、ガス交換系の機能最適化の仕組みを解明する。それを踏まえて環境に応じたガス交換組織の最適化された構造を理解することを目指している。 現在までに分子機構の解明においては、ゼニゴケにおいて間隙の形成を抑制する因子を単離した。さらに、この因子の発現量を調節することで、異なる間隙密度の植物体を作成することが出来た。現在は既知の因子との二重変異体を作出して、経路上の役割の解析をすすめている。作成した様々な間隙密度の植物体、ガス交換系の一部を欠損した変異体、ガス交換系の構造が異なる近縁種がそろいつつあるので、赤外線サーモグラフィーと蒸散測定装置を用い、構造とガス股間効率、水分損失の関係性を解析する準備が整ってきており、おおむね順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに単離した因子について、既知の間隙形成因子との2重変異体をゲノム編集により作出し、既知の因子との関係を明らかにする。既に形質転換の準備は整っている。間隙の一部を欠損した変異体について、引き続き原因遺伝子の同定を進める。 間隙の形成を抑制する因子の発現量を調整することで、様々な間隙密度の植物体を作出で来た。今年度は、前年度までにそろえたこれらの間隙密度の異なる変異体、ガス交換系の一部を欠損した変異体、ガス交換系の構造が異なる近縁種をもちいて、赤外線サーモグラフィーと蒸散測定装置を用い、構造とガス股間効率、水分損失の関係性を解析する。この結果を用いて、間隙密度のガス交換効率への寄与、ガス交換系を形成するパーツのガス交換効率や水分損失への寄与を解析することで、目的である環境に応じたガス交換組織の最適化された構造を理解することを目指す。
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