2021 Fiscal Year Annual Research Report
植物の姿勢を最適化する張力応答のライブイメージングと分子機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of the strategies of mechanical optimization in plants toward the establishment of the bases for sustainable structure system |
Project/Area Number |
21H00370
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
本瀬 宏康 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (70342863)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 張力応答 / 成長方向 / 姿勢制御 / 微小管 / キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
生物が様々な器官を形成し、成長する時、その形やサイズは絶えず変化していく。この絶え間ない時空間的な変化に対応し、安定した個体発生・器官形成を行うためには、体の各部位の相対的な位置を認識し、全体の形態形成にフィードバックする機構(自己受容)が必要だが、そのメカニズムは不明である。植物では、形態形成に伴って発生する張力がシグナルとなり、細胞骨格の微小管の配向変化を引き起こし、細胞と器官の成長を協調させる。しかし、その調節機構はほとんどわかっていない。そこで本研究では、メカニカルフィードバックにおいて最も重要な、微小管が張力方向に並ぶメカニズムを解明する。我々は、張力に応答して局在を変化させるユニークな性質を持つNIMA関連キナーゼ(NEK6)を見出した。NEK6は、張力に応答した微小管に局在して脱重合を促進し、張力応答を緩和する。これにより、局所的な形の歪みが増強されるのを回避し、スムーズな成長を促進する。興味深いことに、nek6変異体は、張力に過剰に応答する結果、姿勢制御が異常になり、波打ちながら成長する。これは、メカニカルフィードバックが過剰になると、自らの姿勢を適切にモニターできなくなることを意味しており、植物の姿勢制御における張力応答の重要性を端的に示している。本年度は、NEK6を用いた張力応答のイメージングと張力応答プローブの開発を行った。また、NEK6の張力応答機構の解析、張力応答に関わる新規因子の探索を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響で、海外の研究者との連携が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の3つの項目について解析を進める。 1)NEK6を用いた張力応答のイメージング: NEK6を用いて、張力応答を高い時空間分解能で可視化・解析できるプローブを作出する。既に部分長NEK6を用いて、張力応答をイメージングできることが明らかになったので、これを手がかりにプローブの改良と張力応答を定量的に測定する方法を確立する。 2)張力応答の分子機構の解析: NEK6の張力応答の仕組みを手がかりとして解析を進める。これまでに、微小管への局在と張力応答に必要なドメインを特定しており、このドメインに結合する因子を特定する。 3)張力応答を制御する因子の解析: NEK6と他の微小管付随タンパクの関係を明らかにし、論文としてまとめている。また、NEK6の局在異常を示す変異体の解析を進める。
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