2021 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular basis for highly efficient electromechanical energy conversion in outer hair cell
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Engine: Design of Autonomous Functions through Energy Conversion |
Project/Area Number |
21H00387
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島 知弘 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60631786)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 圧電活性 / プレスチン / SLC26 / 蝸牛増幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類内耳に存在する外有毛細胞は、膜電位に応じて細胞長を伸縮させ、音信号を増幅している。外有毛細胞による電気から運動へのエネルギー変換効率は、既存の人工圧電素子の約1万倍と非常に高い。この高効率エネルギー変換を担うプレスチンは、ATPなどの化学エネルギーを利用する多くの生体発動分子とは異なり、電気エネルギーを直接利用して動く生体分子モーターである。我々は、プレスチンが電位変化を感受する仕組み、およびそれをいかに構造変化につなげるかについて研究を進めてきた。これまでプレスチンの属するSLC26陰イオン輸送体ファミリーでは、プレスチンのみが膜電位を感受しうると考えられてきたが、実は他のSLC26タンパク質にも電位感受能があることを我々は発見した。さらに、当該年度の研究によって、培養細胞などに発現させたプレスチンなどSLC26タンパク質の構造変化動態をハイスループットに可視化する計測系の構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プレスチンをはじめとするSLC26タンパク質の構造変化を可視化する計測系を立ちあげるうえで、大きな障害となっていた細胞膜へのタンパク質局在効率が低いという課題がこれまで存在していた。我々はSLC26タンパク質の網羅的な発現解析から、最も効率よく細胞膜へと局在するシグナル配列および培養細胞株を見出し、本課題を克服した。さらに、この手法で発現させたプレスチンは、外有毛細胞での発現と同様に、細胞側面に密集しており、細胞極性が外有毛細胞の大きな伸縮ダイナミクスに与える影響についても、検証可能になった。したがって、今後はこの系を用いて詳細な解析を行うことで、当初の目的を十分達成可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
構築に成功した培養細胞などに発現させたプレスチンなどSLC26タンパク質の構造変化動態をハイスループットに可視化する計測系を利用することで、プレスチン以外のSLC26タンパク質においても電位を感受するだけでなく、感受した電気エネルギーを構造変化における物理的な動きへと変換しうるのか、直接検証していく予定である。 また、外有毛細胞における非常に効率の高い電気→運動エネルギー変換に必要な要素を探るため、プレスチン発現細胞の細胞全体の電位変化による運動の様子を詳細に計測する。タンパク質1分子の構造変化の様子と合わせて計測することにより、1分子の運動から細胞全体への動きへと増幅するメカニズムの解明を目指す。
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