2021 Fiscal Year Annual Research Report
発動ナノゲルの高次集積化による自律駆動システムの創成
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Engine: Design of Autonomous Functions through Energy Conversion |
Project/Area Number |
21H00392
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鈴木 大介 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90547019)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高分子微粒子 / ゲル微粒子 / 微粒子合成 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学振動反応によって生起される微粒子サイズの合成ゲル(発動ナノゲル)の周期的な膨潤/収縮運動を活用し、微粒子の形状を異方的とする新規発動ナノゲルを開発する事で、それらを自己組織化によって集積体を形成する事によって、巨視的な異方的な運動を示す、自律駆動ソフトアクチュエータ―を実現する事を目的に実験検討を行ってきた。 この目的を実現するために、硬質コアの表面に発動機能を示すナノサイズのハイドロゲル層を重合法の駆使によって導入することに成功した。この時、異方形状を有する硬質コアに対してゲル層を導入すると、得られる微粒子の収量が極めて少ないため、得られる微粒子の再現性を確認するのが極めて困難であった。そこで、コアシェル構造を形成後、微粒子の異形化を試みた所、硬質コア部位がはっきりと異形化できることを見出した。 また、異形化処理を施さずとも、発動ナノゲル集積体の運動の方向性を制御する事にも成功した。まず、化学反応によって合成物が運動を生起するために、コアに対して金属錯体触媒を固定化した。このコア表面に対して、多段階の重合ステップを経ることによって、各シェル層がそれぞれ機能を有するマルチシェル型発動ナノゲルを作製した。従来作製したものでは、シェルの存在がコアの膨潤/収縮挙動を抑制してしまうという課題点があった。本研究では、コアの触媒量の増加やシェル厚の精密制御を通じる事で、膨潤/収縮挙動を発現する新規発動ナノゲルを作製することに成功した。これらのナノゲルを集積化する事によって、マクロゲルの運動の方向性を制御する事を見出した。 その他、ナノゲルの主成分となる高分子の化学構造に着目する事で、約1秒の短周期で膨潤/収縮を繰り返す発動ナノゲルの高振幅化にも挑戦した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発動ナノゲルの異形化を達成し、特に異形構造の制御を実現する事が出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
発動ナノゲルの構造制御・さらなる機能化を進めていく過程で、どうしても化学反応に伴う体積振幅が小さくなってしまう問題が生じてしまう。この問題を解決するために、添加物を加えたコア粒子の作製を新たに行っていく。 コンセプトの実現に向けた検討は終盤まで来ていることは事実なので、一つ一つのプロセスを見直し、高い目標に向かって最終年度の研究に挑戦する。
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