2021 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルウイルス増殖機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
21H00417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸鶴 雄平 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50825750)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HSV |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルス粒子はウイルス蛋白質によって構成されることから、細胞内の感染性ウイルス粒子数(y)は細胞内のウイルス蛋白質量 (x)によって決定され、y = f(x)の関係性が成り立つことは想像に難くない。しかし、これまでにこれら2つの要素がどのような関係性を持つのか定量的な解析は行われていない。この課題に取り組む為には感染細胞におけるウイルス蛋白質の量と、その細胞におけるウイルス粒子数を同時に解析する実験系の確立が必要であったが、単純ヘルペスウイルス(HSV)の組み換え技術を駆使することで、この系を確立した。これまでの解析によって、感染細胞における感染性ウイルス粒子数は細胞のウイルス蛋白質量が少ない範囲では増加しないが、ある値を超えると劇的に増加することが明らかになった。言い換えれば、感染細胞のウイルス蛋白質量には感染性ウイルス粒子の産生が爆発的に増加する特異点(シンギュラリティ)が存在することになる。また、ウイルス蛋白質量が特異点を超えた細胞の割合は、感染初期では集団の1%以下であったが時間経過と共に増加していた。従って、感染細胞はウイルス産生の“ON”と“OFF”の状態が明確に区別可能であり、ウイルス増殖は「ウイルス産生がONとなった細胞数が増加するデジタルな現象」と捉え直すことができる。令和3年度はウイルス産生がOFFの細胞とONの細胞の差異の解析を行った。その結果、ウイルス生活環における感染性ウイルス粒子産生の律速段階を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルス産生が劇的に上昇する特異点前後の細胞の差異を解析することによって、ウイルス生活環における感染性ウイルス粒子産生の律速過程を明らかにすることができた。律速過程以前のウイルス生活環は抗ウイルス薬開発における効果的なターゲットになり得る為、本知見は新たなHSV感染症の制御法の開発における基盤的な知見となると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
感染初期に出現するシンギュラリティ細胞とそれ以外の細胞をソートし、RNA-seq解析することによりシンギュラリティ細胞の発生に関わる細胞側の要因を解明する。シンギュラリティ細胞の発生に関わる可能性のある宿主要因に対するGain of Funcsion 及びLoss of Functionの実験を行う。具体的にはRNA-seqによって得られた結果に対してはその宿主遺伝子のノックアウト細胞、もしくは過剰発現細胞を作製し、フローサイトメーターもしくはライブセルイメージングによってシンギュラリティ細胞の発生頻度を解析する。
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[Journal Article] Role of the orphan transporter SLC35E1 in the nuclear egress of herpes simplex virus 12022
Author(s)
F. Maeda, A. Kato, K. Takeshima, M. Shibazaki, R. Sato, T. Shibata, K. Miyake, H. Kozuka-Hata, M. Oyama, E. Shimizu, S. Imoto, S. Miyano, S. Adachi, T. Natsume, K. Takeuchi, Y. Maruzuru, N. Koyanagi, J. Arii, Y. Kawaguchi.
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Journal Title
Journal of Virology
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed
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