2021 Fiscal Year Annual Research Report
時空間トランススケールイメージングを可能にする超分子ケージドルシフェリンの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
21H00437
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
蛭田 勇樹 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (60710944)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生物発光 / フリマジン誘導体 / ケージド化合物 / トランススケールイメージング / 筋芽細胞 / 細胞融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物発光を利用したイメージングは、細胞や動物体内の高感度かつ非侵襲的な観察を可能にする。中でも、高輝度を特長とする生物発光酵素Nanoluc / NanoKAZ (NLuc / KAZ)・基質フリマジン (FMZ) が注目を集める。一方、FMZの自発的な酸化分解や、速い酵素反応による発光の急激な減衰が、イメージングの感度や時間に制約をかけていた。本研究では、より長期にわたる生命現象の非侵襲的かつ一細胞レベルでの観察に向けたFMZ誘導体の開発を行い、筋芽細胞融合の連続イメージングに応用した。 FMZのC-3位およびC-6位の改変を行った。C-3位に、嵩高いアシル系保護基のPivaloyl (Piv) 基、1-Adamantanecarbonyl (Ad) 基を導入し、酸化分解の抑制と、細胞内での緩やかな脱保護反応による発光の長時間化を狙った。C-6位には水酸基を導入し親水性を上げることで、細胞毒性の抑制を図った。新規基質Ad-FMZ、Piv-FMZ-OH、Ad-FMZ-OHを合成し、既存の基質FMZ、FMZ-OH、Piv-FMZとあわせて、化学的・生物学的特性および発光特性を評価した。 C-3位保護基質は、FMZやその誘導体FMZ-OHよりも高い安定性を示し、エステラーゼによる加水分解を受けて発光体であるFMZやFMZ-OHを遊離することを確認した。続いて、酵素NLuc発現細胞内で、C-3位保護基質がFMZ, FMZ-OHと比較して長時間発光を示すことを確認した。さらに、顕微鏡による一細胞イメージングにおいて、特に嵩高いAd基を導入した基質では、24時間にわたって安定的なシグナルを検出することができた。最も長時間発光を示し、細胞毒性の確認されなかったAd-FMZ-OHを、筋芽細胞融合の連続イメージングに応用し、30時間にわたる一細胞レベルでの細胞融合イメージングを実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
フリマジン誘導体の合成、基礎評価、生物発光イメージングが順調に進んだ。得られた結果は、論文にまとめており国際的な学術誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
長時間の生物発光イメージングを観察できる基質を開発できたため、領域内共同研究を進めることで、時空間トランススケールイメージングの実現を目指す。
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