2021 Fiscal Year Annual Research Report
Organoid-based model of symmetry breaking in organogenesis
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
21H00438
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今泉 研人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (10835846)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | オルガノイド / 領域特異性 / オーガナイザー |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の体を構成する臓器は発生過程において、初めは均質な細胞集団であるが、次第に機能的に異なる領域に区分されることで、複雑な臓器機能を発揮していく。この極性化は、特定の細胞集団(オーガナイザー)から分泌されるシグナル分子よって決定されることが知られている。しかしながら、このオーガナイザーがどのように出現し、空間的極性の獲得を実現するかについては、明らかとなっていない。我々は試験管内で臓器発生を模倣できるオルガノイドを用いて、臓器の極性化を観察するモデルを構築した。このモデルでは、未分化状態の均質な細胞塊を培養することで、自発的に臓器の極性化が再現される。まず、この極性化に重要なオーガナイザーが各オルガノイドに一つずつ形成されることを見出した。さらに、オーガナイザーから分泌されるシグナル分子を阻害すると、この極性化は見られなくなった。これらのことから、各オルガノイドに一つずつ形成されるオーガナイザーからのシグナル分子の分泌によって、オルガノイドの自発的な極性化が行われていることが明らかとなった。さらに、オーガナイザーの形成過程を観察すると、オーガナイザーは初めは同時に複数の場所でランダムに出現するが、次第に一箇所に局在することで、空間的な対称性を破ることを見出した。すなわち、オーガナイザーが自発的に一箇所に集合することによって、オルガノイドの極性化が行われていることが示唆された。最後に、このオーガナイザーの局在化に重要な遺伝子を同定し、この遺伝子をノックアウトすることによって、オーガナイザーの局在化が障害されることを確認した。現在、この遺伝子の機能を通じてのオーガナイザーの自発的な局在化のメカニズムを探索中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オルガノイドの培養条件の最適化により、オーガナイザーが特定の場所に局在化していく現象を安定的かつ定量的に捉えることに成功した。さらに、局在化において重要な働きを持つ遺伝子の同定に成功し、この遺伝子をノックアウトすることによって、オーガナイザーの局在化が障害されることを確認した。これらの結果から、本計画はおおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
オーガナイザー細胞の局在化過程をライブイメージングで捉え、局在化の様式を明らかにすることを目指す。すでにライブイメージングのためのレポーター細胞の作成を進めており、ライブイメージング実験に注力して実験を進めていく予定である。さらに、上記の遺伝子の機能に着目し、局在化の分子的なメカニズムも同定することを目指す。
|
Research Products
(3 results)