2021 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン-ミクログリア連関の破綻を起因としたタウ蛋白質相転移メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
21H00446
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
佐原 成彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 上席研究員 (40261185)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タウ / 神経変性疾患 / タウオパチー / 蛋白質相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
老年性認知症病態の大半を占める凝集性タウタンパク質の脳内蓄積は神経機能障害や細胞脱落と密接に関連していることが知られているが、どのように生理的に微小管結合能を有するタウが自己凝集能を獲得し、病的なタウが特定脳領域より拡散・伝播するのか、その技術的特異点は明らかになっていない。本研究では、タウ蛋白質相転移(正常から異常への変換点)がタウ毒性の本体であると仮定し、昨年から継続して、生体イメージング技術を用いてrTg4510マウスにおけるタウ病変発症の技術的特異点を同定することを目的としている。 昨年度は、タウPET imagingによるrTg4510マウスにおけるタウ病変伝播の規則性を探索することで一定の成果を挙げた。また、タウ沈着形成前の早期病態変化として神経細胞のミクログリアによる貪食作用の検出を目指し、複数のミクログリアマーカータンパク質の病理学的検討を行い、タウ病態とミクログリア活性化の関連性を明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究成果について、論文発表(共著を含め4報)、学会講演(日本認知症学会、日本生体医工学会)など、順調に研究業績を上げていることから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに、タウオパチーマウスモデルrTg4510マウスのミクログリア動態変化について解析を行ない、タウ病態形成との時系列変化を明らかにした。本年度は恒常性ミクログリアによる神経保護作用に着目して、タウ病態形成とミクログリア動態の相互作用に基づくタウ蛋白質相転移メカニズムの解明を目指し、rTg4510マウスの薬剤投与によるミクログリアの機能阻害実験を継続するとともに、昨年度作出に成功したROSA26遺伝子座へヒトタウ遺伝子を導入した遺伝子改変マウスの病態解析を進める。また、これら二つのマウスモデルにおける、早期タウ病態を評価しうる生体イメージング技術の開発を進める。
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Research Products
(7 results)