2021 Fiscal Year Annual Research Report
Conversational function and cognitive ageing: a multi-layered analysis for resilient characteristics of conversational ability
Publicly Offered Research
Project Area | Lifelong sciences: Reconceptualization of development and aging in the super aging society |
Project/Area Number |
21H05321
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原田 悦子 筑波大学, 人間系, 教授 (90217498)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 会話 / 認知的加齢 / レジリエント特性 / 異世代間対話 / 高次認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の認知機能における加齢変化を中心として,そこから発生する会話の現象的変化を,「(高齢者自身が)影響を受ける諸要因の変動を受け止めつつ,会話を維持し続けるレジリエント特性により,会話を変化させていく」という特性から明らかにしようとして,実際に生じる高齢者-若年成人(大学生)会話)の話者交替(turn-taking)に注目をして分析を行った.量的な比較検討を可能とするため,ペアで行う実験室課題を実施中の会話を対象に,高齢者,若年成人(大学生)の同世代,異世代間ペアの会話を対象とした.その結果,会話で発話重複が生じた後,a)若年成人では一般に無標の他者回復が優勢であり,ターンは交互に取られ,相手のターンが終了した時に自らに割り当てられるというルールに沿って対話を構築していると考えられたのに対し,b)高齢者では有標の自己回復が多く発生し「話し始めた人がターンを取る」ルールが優勢と考えられた,またc)高齢者の「有標自己回復」の傾向は,高齢者同士に比べ,特に若年成人との異世代間会話に強くみられた. 加えて,分析により特徴的であることが見えてきたため,文頭に「で」をつける「話者性の主張」についてカウントを行ったところ,特に若年成人において,高齢者との異世代間会話において高頻度で生じていることが示された, いずれの結果も,若年成人において高齢者との異世代会話において「ターンの取りにくさ」が生じていることを示唆するものと考えられた.この結果を受けて,異世代間会話における若年成人の会話機能変化についての分析を加えることとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者の会話機能変化を中心に分析することを当初目的としてきたが,実会話分析の結果として,大きな変化がみられるのは「高齢者と会話をするときの若年成人(大学生)」であることが明らかになってきた.現状の研究成果は,若年成人における対話相手に伴う会話変化の分析が中心となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者の会話のみを対象としたレジリエンス特性分析は,質的分析,ならびに実験課題による量的分析のいずれにおいても,統制が難しく,結果の明晰性が上がりにくいこと,興味深い現象は,高齢者との対話における若年成人の会話機能変化と考え,まずは若年成人を対象とした検討からとりかかり,実験室課題を工夫することによる認知負荷計測について進めていく.
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Research Products
(5 results)