2021 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の多面的Well-being:言語マーカー・主観指標・バイオマーカーから
Publicly Offered Research
Project Area | Lifelong sciences: Reconceptualization of development and aging in the super aging society |
Project/Area Number |
21H05329
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 真孝 京都大学, 人と社会の未来研究院, 特定講師 (40838398)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 生涯学 / ウェルビーイング / 加齢 / 自然言語処理 / 幸福観 / 健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者の日々の暮らしを人工知能との会話の中から見守り、日々の暮らしと多面的ウェルビーイングを概念化・測定することである。このために、日々の暮らしについての会話(テキスト)データとそれと紐づいた生物学的健康データと主観的幸福感等の質問紙データの収集が必要となる。コロナ禍において高齢者から健康データを対面で取得することについて、リスク面を考慮して、慎重にデータ収集方法と時期を検討した。特に、安全面の対策も含めて医学系の研究者との共同研究を模索し、方法も含めて準備・精査を行なった。 その結果として、医学系の共同研究者とともにフィールドの開拓を行い、今後に行う研究の計画を綿密に行うことができた。次年度に実際にデータ収集を行う予定である。 また、フィールド開拓と並行して、日々の暮らしからウェルビーイングを推定する方法の開発を行なった。高齢者に限らない350名程度の成人参加者に対して、2週間にわたって日々の出来事などについての日記を書いてもらい、そのテキストデータと日々の幸福感の紐付けを行なった。深層学習技術を用いてテキストデータから日々の幸福感の推定が可能であることを示し、学会発表を行なった。 また、本研究は学術変革領域「生涯学」の枠組みの中で、加齢観の刷新を目的としているが、加齢に伴う変化、そのウェルビーイングとの関係は「加齢」の文化的意味付け・価値付けと深く関わっていると考えられる。そのため、加齢、ウェルビーイングやその源、それら関係について文化的文脈の中で理解する必要がある。そのために、文化比較の国際共同研究を海外の著名な高齢者心理学者と開始した。また、畏怖・畏敬感情の加齢変化及びそれとウェルビーイングの関係についての文化比較データの分析も行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍において高齢者から健康データを対面で取得することについて、リスク面を考慮して、慎重にデータ収集方法と時期を検討した。特に、安全面の対策も含めて医学系の研究者との共同研究を模索し、方法も含めて準備・精査を行なった。このような慎重な判断は当初計画で行うことを定めていたものであるが、データ収集は最も順調に行くと想定した場合よりも遅れている。しかし、今後実施可能な状態にある。 また、並行したオンライン調査により、日々の暮らしについてのテキスト(日記)データと幸福感等のデータを紐付け、推定技術を開発できた部分は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に計画した、高齢者からのデータ取得を行う。つまり、日記による日々の暮らしのテキストデータを各種の生物学的健康指標及び主観的幸福感等の質問紙データと紐付けて収集を行う。 収集したデータを分析し、日々の暮らしのテキストから多面的ウェルビーイングを推定する方法の開発を行う。また、日々の暮らしの内容と多面的ウェルビーイングの具体的な関連を検討することで、暮らしとウェルビーイングの関係の理論化を行う。 また、加齢とウェルビーイングの関係の国際文化比較研究を引き続き継続して行う。 いずれの研究についても、データ分析が終了した時点で論文執筆をおこなう。
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