2021 Fiscal Year Annual Research Report
炭化種実塊と多量種実圧痕から探る先史時代の種実利用
Publicly Offered Research
Project Area | Excavating earthenware: Technology development-type research for construction of 22nd century archeological study and social implementation |
Project/Area Number |
21H05356
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山本 華 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (70899179)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 多量圧痕 / シソ属 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、炭化種実塊や土器付着炭化物として遺跡から出土する種実や、土器の多量圧痕として出現する種実について、頻出する背景や利用法の実態を解明するための基礎資料としての集成作業を進めた。また、縄文時代の遺跡からしばしば多量に出土し、土器圧痕としても残りやすいシソ属果実の当時の利用方法や栽培、管理方法を検討するための調査として、岩手県二戸郡においてエゴマ栽培の様子を調査した。現代のエゴマの栽培方法や利用方法、収穫方法、収穫に用いる道具などについての聞き取り調査を行い、非常に重要な現代の実例を確認できた。 遺跡からよく出土する種実試料との比較材料となる現生植物標本としては、ミズキやキハダ、ニワトコなどのほか、シソ属のシソやエゴマを収集し、標本として整理してデータベース化を進めた。さらに異なる季節のエゴマ果実試料を収集し、縄文時代のシソ属果実の識別点を探るための基礎的な資料の収集を進めることができた。これらの試料の観察、計測作業を順次進めており、今後成果としてまとめる予定である。 また、多量圧痕土器の資料数を増やすための調査として、埼玉県春日部市の縄文時代前期の遺跡から出土した土器について圧痕調査を実施した。調査は来年度も継続する予定であり、多量圧痕土器の資料を増やせる見込みである。さらに、計画研究A02班と連携し、多量種実圧痕として確認される分類群を中心に現生植物標本の収集を進めるとともに、エゴマ栽培の用地も確保し、来年度の栽培実験に向けた準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現生植物標本について複数種類を収集し、観察、計測する環境も整備した。またエゴマを栽培する用地も協力を得て確保し、来年度栽培実験を行う準備を整えることができた。多量圧痕土器の調査については、埼玉県において調査を実施し、多量圧痕資料を増やす見通しを得た。来年度、継続して圧痕調査を行い、さらなる資料増加をはかる予定である。炭化種実塊や多量圧痕として確認される事例の多いシソ属については、当時の利用方法に迫るべく、現代の栽培、収穫などの様子について聞き取り調査を行い、重要な知見を得た。来年度も計画研究A02班と適宜連携し、資料の増加をはかりつつ、成果の論文化を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
縄文時代のシソ属果実の大きさを評価するため、圧痕資料の増加をはかる。特に多量圧痕資料の蓄積のため、現在進行中の縄文時代の遺跡の圧痕調査を継続して実施する。また現生エゴマの栽培実験を行い、未熟な段階を含めた現生のシソ属果実標本の形態観察と計測作業を進め、シソ属果実の識別点を探り、成果をまとめる。
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Research Products
(7 results)