2021 Fiscal Year Annual Research Report
人骨の形態解析に基づく中国文明形成期集団の行動様式の復元
Publicly Offered Research
Project Area | A New Archaeology Initiative to Elucidate the Formation Process of Chinese Civilization |
Project/Area Number |
21H05369
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
萩原 康雄 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (00780256)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 中国 / 人骨 / 生物考古学 / 骨形態 / 相同モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新石器時代晩期から青銅器時代初期にかけた中国文明の形成過程で、人々の行動様式や移動性がどのように変化したのか、社会の階層化が骨形態にどのような影響を与えたのか、を復元することを目的としている。本目的の達成のために、対象とする人骨資料の四肢骨の形態解析と、頭蓋の三次元形態解析を行う計画である。 2022年度はCOVID-19の感染拡大に伴う移動制約の影響で、中国の人骨の資料調査、および国内の外部研究機関への資料調査が実施できなかった。そのため、比較資料として当初より計画していた、新潟医療福祉大学所蔵の江戸時代資料を対象に、四肢骨の形態計測、および3Dスキャナーを用いた三次元形態計測を中心に行った。計測した個体は江戸時代人骨121個体であり、これらの資料は埋葬様式や墓碑の記録から庶民~武家・旗本・大名階級に属するものである。この江戸時代資料の頭蓋を対象に、相同モデルを用いた三次元形態解析と下肢骨形態の社会階級による差を予備的に検討した。この予備解析により、頭蓋形態の一般的な性差と加齢変化の傾向を確認し、本研究計画で用いる相同モデルのテンプレートデータを作成するなど、三次元形態解析の整備を終えている。また四肢骨の形態解析では、庶民集団と武家集団間の下肢骨形態の身分差が確認できており、社会階層の異なる集団間の移動様式の違いが示唆されている。現状では上記に挙げたような予備解析のみであり、本項目で記述することができる研究実績は乏しいが、中国の対象資料の計測が実施可能となり次第分析を進めることが可能なよう、比較資料の計測を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染症の感染拡大に伴う国内・中国への移動制限により、対象資料の調査を実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19感染症の感染拡大に伴い、当初令和3年度に予定していた中国・国内での調査計画は停止している。令和4年度についても具体的な渡航の計画は、日本国内のみではなく現地の感染状況にも注意が必要なため、多様な情勢に鑑みながら決定してゆく必要がある。 国内については勤務校での移動制限も緩和されたため、まずは国内の資料の計測を積極的に行い、比較資料を蓄積する。そして、中国での資料調査が可能となり次第、できる限り長期の渡航を行う事で研究を進めることとしたい。
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Research Products
(1 results)