2021 Fiscal Year Annual Research Report
Formation of an Intellectual Stratum for Inheriting Knowledge of Islamic Law in Russia in the 18th and 19th Centuries
Publicly Offered Research
Project Area | Connectivity and Trust-building in the Islamic Civilization |
Project/Area Number |
21H05371
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
磯貝 真澄 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90582502)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | ウラマー / ロシア / イスラーム / ヴォルガ・ウラル地域 / タタール / 中央ユーラシア / 人名録 / 人文情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究計画は、1. データベース構築、2. 文献収集、3. 人文情報学を援用した分析手法の検討という、3つの作業を実施するものだった。 1. データベース構築:史料であるリザエッディン・ブン・ファフレッディンによる人名録『事績(アーサール)』第1巻のテキストから、人名項目として見出し語になっているウラマーの名、その他のウラマーの名、彼らの出生地、師事したウラマーの名とマドラサの所在地、彼らがイマーム等の職に就いた場合の勤務地や活動地、そして親や兄弟姉妹、妻や子の情報等を抽出し、データベースを作成する作業を進めている。後述する文献収集の作業が、ロシアによるウクライナ侵略戦争に起因する状況変化のため遅延し、それにともなって空間情報を含む細部の調査に遅れが生じてはいる。 2. 文献収集:ロシア連邦(ウファ市、カザン市、オレンブルグ市等)の図書館、公文書館、および書店等で文献収集を行うか、それが新型コロナウイルス感染症に起因して難しい場合には、ロシア連邦の研究者に協力を依頼して同様の作業を実施する計画だった。しかし、ウクライナ戦争の進行にともなってそれが難しくなったため、他の方法を検討した結果、一定程度はウズベキスタン(タシケント市)やトルコ(イスタンブル市)で可能であり、また時間をかければ旧ソ連圏諸国から入手可能なものがあることが判明した。そのため、ウズベキスタンやトルコに出張し、文献収集を進めた。 3. 人文情報学を援用した分析手法の検討:領域研究(A)「イスラーム信頼学」の計画研究A02、C01をはじめとする各班が実施する学術集会等で情報を得て、GISの利用による情報の分析と可視化については手法を決定しつつある。しかし、人的関係の分析と可視化については、検討を続ける必要がある。 4. 中間的成果の公開:後述の「10.研究発表」欄を参照のこと。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実績の概要」欄で述べたように、ロシアによるウクライナ侵略戦争に起因する状況変化のため文献収集が遅延し、それにともなってデータベース構築作業にも遅れが生じた。 当初計画では、文献収集はロシア連邦の図書館、公文書館、書店等で行うはずであり、それが新型コロナウイルス感染症に起因して難しい場合には、ロシア連邦の研究者と連携して同様の作業を実施する予定だった。しかし、ロシアの研究協力者に業務を委託することが難しくなり、結局、ほぼ不可能となった。 そのため文献収集の方法を検討し直し、それが実施可能な手段が判明したため、本研究課題の2年目(令和4年度)の計画の延期(繰越)を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 文献収集:作業の遅れが生じている文献収集は、ウズベキスタンで可能なものについては、ウズベキスタン科学アカデミー・ビールーニー名称東洋学研究所のN・トシェフ上席研究員などの助力を得て、引き続き継続する。トルコや、旧ソ連圏のロシア以外の諸国から文献を入手できる書店・古書店を経由しての文献収集も継続する。 2. データベース構築:文献収集で新たに得られる情報を利用し、充実したデータベースを構築する作業を継続する。 3. 人文情報学を援用した分析手法の検討:領域研究(A)「イスラーム信頼学」の計画研究A02、C01をはじめとする各班が実施する学術集会等で情報を得るとともに、とくに人的関係の分析と可視化については、研究協力者である甲斐洋行・東洋大学理工学部准教授とともに検討を続け、手法を決定する。
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Research Products
(6 results)