2021 Fiscal Year Annual Research Report
SNSを媒体としたクルアーンがもたらすイスラーム的コネクティビティの変容
Publicly Offered Research
Project Area | Connectivity and Trust-building in the Islamic Civilization |
Project/Area Number |
21H05377
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
二ツ山 達朗 香川大学, 経済学部, 准教授 (20795710)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | イスラーム的コネクティビティ / クルアーン / ソーシャルメディア / マテリアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、クルアーンを人々に伝える媒体がどのように変化しているかに焦点をあてることで、現代的なイスラーム的コネクティビティの変容を考察することにある。具体的には、旧来の媒体は垂直的権力関係が強く働いているのに対し、近年普及したSNSなどの媒体においては、水平的社会関係が構築されているという仮説を出発点とし、その仮説を実証的に考察するために、両媒体の特徴とそれがもたらす紐帯と分断の事例を分析する。 2021年度においては、先行研究を網羅的に精査し、クルアーンを伝える媒体の変容に関する研究の論点をまとめた。2022年度からは、SNS上で投稿・共有されているクルアーンの特徴を分析するために、それらの投稿を頻繁に行っているインフルエンサーに着目し、ムスリム留学生とともにデータを収集した。2022年の後半からは新型コロナウイルス感染症の渡航制限が緩和されたため、マレーシア、インドネシア、チュニジアでインタビュー調査を主としたフィールド調査を行った。 当該年度のはじめの一年間は渡航が禁止されていたため、予定通りの調査が実施できなかった。また、研究会において関連研究者と本課題の考察部分について議論した結果、ムスハフの際に問題となっていたテキストの信憑性や不敬の問題をSNS上で置き換えて議論をしても、イスラーム信頼学について理解を深めるという点では意義は乏しいとの結論に至った。そこで、SNS上のクルアーンの投稿をめぐる動態に焦点をあてた分析・考察を行うことにした。 2022年度までの成果は、研究会での口頭発表二回、ニュースレターでのエッセイ一稿、編著本への章分担執筆一稿を発表した。また2022年7月9日と11月25日~27日に中東イスラーム世界・フィールド研究会と連携した研究会を香川大学で実施し、多くの中東地域研究分野の若手研究者と活発な議論を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度後期と2022年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で海外渡航と県外移動に制限がかかり、申請時に計画していた海外での調査は実施できず、人類学的なフィールドワークによるデータは収集できなかった。また本務先の学務や地域連携事業などに想定外のエフォートが割かれたことにより、必然的に申請時に計画していた時間を研究課題に充てることが難しい状況となった。 しかしながら、国内で実施できることに注力し、研究会を精力的に組織して議論を行い、インターネット上で得られる情報からデータを収集したことで、一定の研究成果を発表した側面もあるため「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は引き続きSNS上の投稿を収集し分析するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった海外での文化人類学的調査も行う。 最終年度にあたるため、これらのデータを先行研究や文化人類学的な議論と照らし合わせることで、研究成果の公開につなげる予定である。
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Research Products
(5 results)