2021 Fiscal Year Annual Research Report
A new construction of interdisciplinary research field combining planetary and interstellar gas phase chemistry studies
Publicly Offered Research
Project Area | Next Generation Astrochemistry: Reconstruction of the Science Based on Fundamental Molecular Processes |
Project/Area Number |
21H05420
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 孝浩 東京大学, 情報基盤センター, 特任准教授 (40750493)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 電波天文学 / 惑星大気化学 / 同位体比 / リモートセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,特に同位体比をツールとして,星間化学の知見を取り入れながら惑星大気化学環境の解明を目指すものである.初年度の今年度は,今後の論文投稿・出版に向けた予備的な解析に取り組んだ.まず主要な対象である土星衛星タイタンについて,構築済みのアルマビッグデータから,同位体比が報告されていない分子の抽出を行い,十分なシグナル・ノイズ比で窒素化合物中の炭素同位体比の導出が可能であることが分かった.また,アルマでの長大な観測時間を投下した観測のために,サイクル8(サプリメンタル・コール)およびサイクル9への観測提案の投稿を行った.どちらも海王星を対象とし,未報告の重要な同位体比を明らかにするものであり,重要な観測的ブレイクスルーをもたらすと期待される.サイクル8は採択されており,今後の観測を待っている状況にある.また,電波だけでなく光赤外の中型望遠鏡を用いた観測研究の予備解析のために,中分散分光計を自作し,検証観測・解析ソフトウェアの開発を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究期間は一般の科研費に比して短いため,既存のデータの解析と新規データの入手の2つを柱として研究に取り組んだ.まず既存データの解析として,構築済みのアルマデータセットを用い,同一環境で観測された複数の同位体輝線の観測データの抽出とシグナル・ノイズ比の評価を行い,今後の論文投稿に十分な精度のデータがあることが示すことができた.星間化学の研究者とも連携しながら,研究期間中の新たな論文の投稿・出版を視野に入れた解析について目処がついたことは重要である.また,新たなデータの入手のためにプロポーザルの投稿と一部採択,また小型望遠鏡での機動的な観測を目指した実験にも成功しつつあり,研究期間中のデータ入手・解析についても目処が立ちつつある.これらを反映し,進捗状況を(2)としている.
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Strategy for Future Research Activity |
アルマビッグデータから抽出した窒素化合物中の同位体比について,解析と論文の執筆・投稿を行う.同位体比の導出については,複数のデータセットと輝線強度比を用いる手法により,簡便かつ十分な精度での導出が可能であり,本手法を用いた解析は既に論文出版済である. アルマの新規データは,採択もしくは観測待ちの状況にあるが,観測がなされれば世界初の海王星同位体比データが得られる予定である.海王星の輝線強度からカラム量を求める手法はすでに確立されており,観測後はさっそく解析・論文執筆に取り掛かる事が可能である. 光赤外観測のための分光実験は,超小型望遠鏡での予備観測と解析ソフトウェアの連続稼働に取り組んでおり,並行して中型望遠鏡での機動的な運用に向けた調整を行う予定である.また,複数の同位体輝線が同時観測されたアルマデータを用いた輻射輸送計算手法の開発にも取り組んでおり,実データを用いた検証を行っていく.
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Research Products
(2 results)