2022 Fiscal Year Annual Research Report
小惑星リュウグウの表面で独自に進行した有機物進化の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Next Generation Astrochemistry: Reconstruction of the Science Based on Fundamental Molecular Processes |
Project/Area Number |
21H05431
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 徹 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (80750455)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | リュウグウ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リュウグウで起こる物質変化の解明を目指した。昨年度に引き続き、宇宙風化を受けた複数の砂に含まれる磁鉄鉱の表面が、窒化していることについて注目して詳細を観察した。透過型電子顕微鏡を使って元素の分布などを観察すると、磁鉄鉱の表面の50nm程度の領域で窒素が濃集していることが示された。さらに electron diffraction mappingを使った詳細な分析を行なった結果、窒化鉄(roaldite)が磁鉄鉱を覆っていることを示した。窒素の濃集している層は、鉄の濃度が高 く、α金属鉄の電子線回折パターンが得られた。一方で、宇宙風化を受 けた磁鉄鉱で窒素が存在しない粒子も存在した。これらの結果から以下の考察を行なった。リュウグウ表面への太陽風の照射や微小隕石の衝突によって、磁鉄鉱から選 択的に酸素が消失し、過剰となった鉄原子からα鉄が形成した。微小隕石の衝突 によって生じた蒸気は反応性の高いアンモニアに富んでおり、α鉄と衝突蒸気が反 応した結果、窒化鉄が成長した。このプロセスにおいて、リュウグウのようなCIコ ンドライト組成の衝突蒸気を仮定すると窒化鉄は安定に存在しないことが熱力学計算から示され、衝突物に窒素化合物が豊富に含まれていたと推定した。CI組成よりも豊富な窒 素化合物を固体として含む天体は、太陽系の外側に存在する彗星や氷天体が仮定される。この考察は、現在のリュウグウの軌道である地球領域に、CIコンドライ トよりも窒素に富む物質が少なからず飛来していることを示唆している。これらの成果を含めたリュウグウの宇宙風化の研究をNature Astronomyに投稿し、出版した。またプレスリリースもおこなった。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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