2021 Fiscal Year Annual Research Report
偏光近接場による星間塵ナノ微粒子のキラル分子科学
Publicly Offered Research
Project Area | Next Generation Astrochemistry: Reconstruction of the Science Based on Fundamental Molecular Processes |
Project/Area Number |
21H05439
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
成島 哲也 分子科学研究所, メゾスコピック計測研究センター, 助教 (50447314)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | ホモキラリティ / 星間塵ナノ微粒子 / 円二色性 / 近接場光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,宇宙における奇妙なキラル分子選択の謎を,星間塵ナノ微粒子を舞台としたナノ光科学として捉え,従来の望遠鏡による観測に,実験室における独自の顕微分析手法を融合し,科学的に解明を試みるものである。 近接場ナノ円偏光は,配向した星間塵と偏光した光により,ナノ微粒子の表面に局所的に発生する。宇宙におけるアミノ酸分子の検出に加え,微粒子の配向と偏光した光を,望遠鏡により観測し,その知見に基づき,微視的な分子のキラリティ選択機構を実験室の顕微鏡下で再現・直接観察することにより,一連のホモキラリティ発現シナリオの完成を目指す。 本年度はまず,宇宙を模した環境での顕微イメージング分析を行うため,低温,真空下で計測が行える,光学系とイメージングシステムの設計,物品の選択と調達を進めた。10月の採択直後に開始したが,コロナ禍で物品の調達が想定以上に難しく,3月に納品されてしまった。少し遅れるが,次年度,これらのシステムを組み立て,動作確認を行い,星間塵ナノ微粒子表面上に発現する近接場ナノ円偏光の評価等を進める。 一方,モデルとなる星間塵ナノ微粒子については,当初, 電子線描画法等によるナノ加工技術により,人工的に作成することだけを想定していたが,より現実的な星間塵ナノ微粒子の「凝集体」を強く集光した光を用いることにより,比較的自在に作成できることを見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はまず,宇宙を模した環境での顕微イメージング分析を行うため,低温,真空下で計測が行える,光学系とイメージングシステムの設計,物品の選択と調達を進めた。10月の採択直後に設計や調達する物品の選択を速やかに開始したが,コロナ禍のため物品の調達(海外からの物品と国内での特注品が中心であった)が想定以上に難しく,大分遅れた。納品後,これらのシステムの組み立てを開始し,動作確認を進めている。今後,星間塵ナノ微粒子表面上に発現する近接場ナノ円偏光の評価等を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
物品調達が遅れために遅延している計画については,速やかに動作確認を完了し,星間塵ナノ微粒子表面上に発現する近接場ナノ円偏光の独自円二色性イメージング計測による評価等を進める。 一方,計画書作成時には想定していなかったような,より現実的な星間塵ナノ微粒子の凝集体の作成も可能になりつつあるので,それらについて併行して行う。 また,次年度予定していた,分子スケールの起源解明については,予定通り走査プローブ顕微鏡を導入し進めるとともに,一部他機関との共同研究としての遂行について検討し効率的に研究を進めたい。
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Research Products
(9 results)