2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study of assembly bias and splashback radius through multi-wavelength data set and weak lensing
Publicly Offered Research
Project Area | What is dark matter? - Comprehensive study of the huge discovery space in dark matter |
Project/Area Number |
21H05456
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮武 広直 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (20784937)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 観測的宇宙論 / 暗黒物質 / 銀河団 / 多波長観測 / 弱重力レンズ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
アセンブリ・バイアスは銀河団内部の質量以外の性質と銀河団の周辺環境の相関のことである。15年程度前にN体シミュレーションを用いた理論的研究で銀河団の形成時刻と周辺環境の相関などが存在することが指摘されてきたが、観測的な検出が試みられ始めたのはここ5年程度である。 本年度は以下に述べるアセンプリ・バイアスの観測的研究を進めた。まず、SDSSで検出されたz<0.12の約600個の銀河団を、実際に観測された宇宙の大規模構造を再現するN体シミュレーション(Elucidシミュレーション; Wang H. et al., 2014, ApJ, 794, 94)で記録されている銀河団の形成時刻で銀河団サンプルを分けた。それぞれのサンプルで銀河団と銀河の相互相関を取ることで、大スケールに現れるバイアスの大きさを測定するとともに、弱重力レンズ効果を用いて銀河団の質量を測定し、銀河団の質量に依存するバイアス成分を取り除き、アセンブリ・バイアスを取り出すことを試みた。その結果、銀河団の現在の質量の20%に達する時刻でサンプルを分けた場合、サブサンプル間のバイアスの大きさの違いを6sigmaで検出した。これは、観測的に銀河団の形成時刻を推定するのが困難な状況の中、実際の大規模構造を再現するN体シミュレーションを用いることでアセンブリ・バイアスを検出しようというユニークな研究である。この結果は論文としてまとめ(arXiv:2202.01795)、現在査読中である。 また、スプラッシュバック半径に関しては、eROSITAサーベイで得られたX線銀河団サンプルとHSCで観測された銀河の銀河団-銀河相互相関関数を測定することでX線輝度とスプラッシュバック半径の大きさの相関を調べる研究をIUCAAのSurhud More氏と開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アセンブリ・バイアスの研究が論文としてまとまり、スプラッシュバック半径に関する研究もスムーズに開始することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回はN体シミュレーションを利用してアセンブリ・バイアスの検出を試みたが、来年度はX線やマイクロ波といった多波長のデータを組み合わせてサブサンプルを作成し、アセンブリ・バイアスを検出することを試みる。また、スプラッシュバック半径の測定を完了し、その理論解釈を行う。
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