2021 Fiscal Year Annual Research Report
Validation of CDM cosmology for large-scale structure formation by considering cosmic variance
Publicly Offered Research
Project Area | What is dark matter? - Comprehensive study of the huge discovery space in dark matter |
Project/Area Number |
21H05465
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
正木 彰伍 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (80826280)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | ダークマター / 銀河 / 宇宙大規模構造 / 宇宙論的N体シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまで現象論的モデル計算で再現できなかった銀河クラスタリングの観測結果を、コズミックバリアンスを考慮した計算で再現することで、大スケール構造形成に対する冷たいダークマターモデルの妥当性を確固たるものとすることである。これまでに観測結果が再現できなかったと確認された研究に共通するのは、さほど大きくない観測領域における、絶対数の少ない大質量な銀河のクラスタリングという点である。したがってコズミックバリアンスという、ローカルな領域間で観測量に大きな分散が生じる効果が大きいと考えられる。そこで、超大規模な宇宙論的N体シミュレーションであるUchuuシミュレーションのデータを利用して、コズミックバリアンスを考慮した現象論的モデル計算を行い、当該観測結果の再現を試みる。 2021年度は、Matsuoka et al. (2011)で得られた赤方偏移0.2から1の4つのビンにおける大質量銀河の角度相関関数に対して、コズミックバリアンスを考慮すれば、現象論的モデルであるSHAMを複雑化することなく当該観測結果を再現できるという仮説を検証した。結果、コズミックバリアンスを考慮すれば観測結果に近づくが、観測値の再現は困難であることが明らかになった。またこの過程において、銀河の星質量と相関するダークマターハローの性質について広範囲に調べた。これによって、標準的な現象論的モデルがなぜ観測と整合するのかを明らかにする手がかりが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に予定していたMatsuoka et al. (2011)に対する検証は予定通り完了した。結果は学術変革シンポジウムで報告した。加えて、標準的な現象論的モデルが観測と整合する理由という、重要だがこれまで明らかになっていなかった点について大きな知見を得ることができた。後者については現在、論文を準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はまず、標準的な現象論的モデルが観測と整合する理由に関する論文を出版する。並行して、当初の予定通りLeauthaud et al. (2017)が報告したCMASS銀河周りの質量分布が、標準的現象論的モデルで再現できない問題に取り組む。この観測結果も、Matsuoka et al. (2011)と同様に、さほど大きくない観測領域における、絶対数の少ない大質量な銀河のクラスタリングであり、コズミックバリアンスによる効果を考える必要がる。そこで2021年度と同じく、超大規模な宇宙論的N体シミュレーションを用いてコズミックバリアンスを考慮した現象論的モデルを行い、観測結果と比較する。2021年度に計算速度を向上させることができたため、迅速に進めることができると考える。この研究の遂行によって、大スケール構造形成に対する冷たいダークマターモデルの妥当性を確固たるものとするという本研究の目的を達成したい。
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