2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of highly condensed pai-electron systems through assembly of nanographenes
Publicly Offered Research
Project Area | Condensed Conjugation Molecular Physics and Chemistry: Revisiting "Electronic Conjugation" Leading to Innovative Physical Properties of Molecular Materials |
Project/Area Number |
21H05491
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
灰野 岳晴 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (80253053)
|
Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
|
Keywords | ナノグラフェン / 超分子化学 / 自己集合 / 化学修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本領域研究は,新しい高密度な電子共役を開拓することで,従来の電子共役の概念を変革し,未踏機能を実現することを目指している。本研究では,有機合成化学と超分子化学によるナノグラフェンの集積化により,電子共役構造を高密度化する新たな手法を開発するとともに,高密度化された電子共役構造の未達の電子/スピン機能を創発することで本領域に貢献する。 我々は,グラファイトの酸化分解によって調製されるナノグラフェンの化学修飾により多様な光電子機能を生み出すことに成功してきた。今回,グラフェンのエッジ部分に長鎖のアルキル基を導入すると,ナノグラフェンが自己集合し積層集合体を生み出すことを見出した。一般に,ナノグラフェンは自発的に折りたたまれてしまうため,異方的な積層構造を生み出すことは難しい。今回,合成したナノグラフェンは,エッジに導入された置換基の立体的な相互作用により引き伸ばされたπ平面を有しているため,π-π相互作用により異方的に積層したと考えている。ナノグラフェンの積層構造は、非常に長いファイバー状のモルフォロジーを与えたことから,超分子ポリマーの生成が確認された。次に,エッジにトリフェニルアミンを導入したナノグラフェンは可視領域だけでなく近赤外領域にエレクトロクロミズムを示した。特に,近赤外領域の調光は65%の近赤外光を遮断できたため,近赤外の調光による熱制御技術の革新的手法となると期待されている。これらの研究成果は既に学術論文として発表済みであり,どちらの成果も雑誌表紙と口絵に選ばれた。また,学会等でも既に発表を終えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,グラフェンの化学的及び超分子化学的手法による新しい集積化の方法の開発とこれによる新しい電子共役構造の構築を目指している。当初の計画通り,分子間相互作用を制御することでグラフェンを積層させることに成功した。これは,多様な分子間相互作用を利用することでグラフェンの積層構造を生み出すことができることを意味しており,本研究課題が目指すグラフェンの積層構造を基盤とした新しい電子共役構造の創製に向けて順調に進んでいる。また,グラフェンの電子構造をエッジの官能基化により直接制御できることも示すことができた。グラフェンの化学修飾により,新しい近赤外調光システムを構築できたことは特筆に値する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,ヘテロ原子が共役構造に化学的にドープされたグラフェン薄膜や,ナノグラフェンの自己集合による超分子ポリマーを開発することで,グラフェンの新たな電子共役構造の創出を行う。具体的には,グラフェンの周囲に水素結合部位や金属配位部位などを導入し,分子間相互作用を操ることでグラフェンの積層を自在に操る手法を開発する。また,芳香族ジアミンと官能基化グラフェンの反応により新しいグラフェンポリマーを合成し,その電子機能を明らかにする。グラフェン超分子ポリマーやポリマーを原子間力顕微鏡により観測することで構造を明らかにする。さらに,電子構造を電子スピン共鳴法によりグラフェンの電子共役構造を検討する。
|
Research Products
(76 results)