2021 Fiscal Year Annual Research Report
メトキシ修飾シクロパラフェニレンの多段階酸化に基づく多次元高密度空間共役システム
Publicly Offered Research
Project Area | Condensed Conjugation Molecular Physics and Chemistry: Revisiting "Electronic Conjugation" Leading to Innovative Physical Properties of Molecular Materials |
Project/Area Number |
21H05496
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
土戸 良高 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 助教 (00814344)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | シクロパラフェニレン / 金錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
n個のベンゼン環がパラ位で連結した大環状有機化合物である[n]シクロパラフェニレン([n]CPP)は,その合成の難しさから長らく夢の分子とされていたが,2009から2010年にかけてJasti,伊丹,山子がそれぞれ独自の合成手法の開発に成功し,その湾曲したπ共役系に起因する特徴的な物性が明らかになってきた.一方,最近我々は三角形状の大環状六核金(I)-ビフェニレン錯体を経由した[6]CPPの新規合成法を開発した(Angew. Chem. Int. Ed. 2020, 59, 22928).本手法は,短工程かつ高収率で[6]CPPを得ることができ,金(I)錯体が再利用できるため,コスト・環境面でも有用な合成法である.本研究では,我々の開発した合成手法を応用し,ベンゼン環に電子供与性置換基(メトキシ基など)を導入した新規シクロパラフェニレン誘導体の合成し,その酸化状態を制御することで高密度共役の実現を目指している.本年度の研究においては,1) メトキシ基が複数個導入されたオリゴフェニレンビスボロン酸を合成し,これらと金塩化物錯体との錯形成によって大環状六核金(I)-ビフェニレン錯体が得られ,最後にPhICl2を添加することで環サイズの異なる5種類のシクロパラフェニレン誘導体の合成に成功した.これらの化合物は,電子供与性置換基であるメトキシ基によって無置換のCPPと大きく異なる電子状態のπ共役系をもつことが電気化学測定および量子化学計算から明らかとなった.2) 我々の合成手法を応用し,硫黄を含む高歪み有機化合物の合成に成功し,その分子構造と電子状態を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の設計した目的分子の合成に成功し,その分子構造と電子状態を明らかにすることが出来たため.これらを化学酸化することで最終目標である多段階酸化による高密度共役が実現できると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度合成したメトキシ修飾[n]シクロパラフェニレンの化学酸化を検討する.酸化剤の種類や添加量を精査することで多段階酸化を達成し,それぞれの酸化状態における電子状態および物性を評価する.さらにメトキシ修飾[n]シクロパラフェニレンを原料とし,分子内のメトキシ基を化学変換することで高密度π共役構造をもつ有機化合物の合成を試みる. また硫黄を含む高歪み環状有機化合物に関しては,硫黄のもつ多彩な金属配位能や酸化状態を利用し,新しい高密度π共役系の構築を目指す.
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