2022 Fiscal Year Annual Research Report
メトキシ修飾シクロパラフェニレンの多段階酸化に基づく多次元高密度空間共役システム
Publicly Offered Research
Project Area | Condensed Conjugation Molecular Physics and Chemistry: Revisiting "Electronic Conjugation" Leading to Innovative Physical Properties of Molecular Materials |
Project/Area Number |
21H05496
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
土戸 良高 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 助教 (00814344)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | シクロパラフェニレン / 金錯体 / 酸化還元 / 芳香族性 / ロタキサン |
Outline of Annual Research Achievements |
n個のベンゼン環がパラ位で連結した大環状有機化合物である[n]シクロパラフェニレン([n]CPP)は,その湾曲したπ共役系に起因する特徴的な物性を示すことが知られている.一方,我々は三角形状の大環状金錯体を経由した[n]CPPの新規合成法を開発した.本手法は,短工程かつ高収率で[n]CPPを得ることができ,金(I)錯体が再利用できるため,コスト・環境面でも有用な合成法である.本研究では,我々の開発した合成手法を応用し,ベンゼン環に電子供与性置換基(メトキシ基など)を導入した新規CPP誘導体の合成し,その酸化状態を制御することで高密度共役の実現を目指している. 初年度の研究においては,環サイズの異なる5種類のメトキシ含有CPP誘導体および硫黄を含む高歪み環状π共役化合物の合成に成功し,その分子構造と電子状態を評価した. 本年度の研究においては,メトキシ含有[6]CPP誘導体のゲスト包接能を評価し,電子求引基をもつアルキル鎖に対して有意なゲスト包接能を示すことを明らかとした.これはCPPが柔軟な構造をもつアルキル鎖を認識した初の例である.さらにこのゲスト包接能を利用し,メトキシ含有[6]CPP誘導体を環成分,両末端に嵩高い置換基が導入されたアルキル鎖を軸成分としたインターロック化合物([2]ロタキサン)の合成に成功した.この分子を二電子酸化したところ,軸のメチレンプロトンの1H NMRシグナルが-10 ppm以上まで大幅に高磁場シフトした.これは二電子酸化に付随してCPP部位がall-cis-[22]annulene型の環状共役を形成し,面内芳香族性が発現することで,CPPの環内部に生じた環電流からの遮蔽効果に起因している.以上の結果は,新しい空間共役の構築や電子物性の発現に繋がる重要なものであるといえる.
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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