2021 Fiscal Year Annual Research Report
腸管免疫系の機能解明を志向した磁場による細胞外カルシウム動態制御法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Biophysical Chemistry for Material Symbiosis |
Project/Area Number |
21H05514
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 智 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (70785229)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 磁場 / カルシウム感知受容体 / 腸管免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、磁場に応答する酸化鉄ナノ粒子の合成と、カルシウム結合性高分子の合成を行った。Thermal decomposition法を用い、10 ~ 30 nmの酸化鉄ナノ粒子を合成した。動的光散乱と透過型電子顕微鏡によって粒径を評価したところ、平均径が20 nmの粒子が最も単分散であり、生体応用に適することがわかった。得られた酸化鉄ナノ粒子は、界面活性剤存在下、各種モノマーと水中でラジカル共重合を行うことで、約50 nmの流体力学的粒径を示す単分散の水溶性粒子を得ることができた。 並行し、種々の重合反応とカルボン酸含有モノマーを用いてカルシウム結合性高分子を合成した。その結果、重合反応条件におけるカルボン酸量に依存したカルシウム結合能を有する高分子が得られた。動的光散乱測定の結果、各高分子は水中で安定に分散し、流体力学的粒径は100 ~ 400 nmの範囲に収まった。また高分子の酸解離定数を電位差滴定により測定すると、モノマー担体のカルボン酸よりも値が大きくなった。しかしながら、外部刺激に応じたカルシウム親和性や酸解離定数の変化は見られなかった。限外ろ過と蛍光プローブを用いたカルシウム定量を試みたものの、50 μMを超える高濃度カルシウムの測定において誤差が大きくなった。よって、高分子のカルシウム親和性を正確に評価できておらず、カルシウム定量法のさらなる条件検討が必要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施計画の1つであった、磁性粒子の合成が完了した。カルシウム結合性高分子に関しては、当初の計画に近い機能を有するプロトタイプが合成できた。以上から、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮すると、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、蛍光測定によるカルシウム結合評価法を確立し、高分子のカルシウム放出能を評価する。さらに、オレイルアミンを用いたthermal decomposition法によって、平均径が20 nm以上でも単分散な酸化鉄ナノ粒子を合成する。また、ポリマー構造を最適化し、外部刺激によりカルシウム結合能が変化する高分子の合成に取り組む。得られたナノ粒子と高分子を用いて、磁場の有無におけるカルシウム濃度定量を行う。
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Research Products
(11 results)