2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of weak interactions by detection of local pH near the cell membrane
Publicly Offered Research
Project Area | Biophysical Chemistry for Material Symbiosis |
Project/Area Number |
21H05532
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
森本 雄祐 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50631777)
|
Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
|
Keywords | 細胞膜 / 相互作用 / 細胞内pH |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内はさまざまなイオンやタンパク質が混在していることから、タンパク質相互作用へのイオンの影響を調べる手段としては、生体外の実験系が有力な手法として主に用いられているのが現状である。また、膜タンパク質の基質との弱い相互作用機構を正確に知るためには、膜タンパク質が細胞膜近傍においてどのようなイオン環境に存在しているかを知る必要がある。しかし、生細胞内における膜近傍の環境がどのような状態にあるのかを1細胞局所レベルで計測できる手法はほとんど存在しない。そこで本研究課題では、細胞機能に必須の構成要素である膜タンパク質が存在する局所的な環境を正確に把握するために、細胞膜近傍の局所的なイオン濃度、特に細胞内pHを1細胞局所で計測可能なナノpHメーター技術を確立させる。本年度は、pHプローブタンパク質を様々な膜タンパク質と結合させてバクテリアの細胞質膜に局在させたとき、膜貫通領域とpHプローブの間に挟まれるドメインサイズの見積もりにより、細胞膜直下では細胞質全体よりもpHが0.2ユニットほど高く、細胞膜から細胞の中心部に向かうほど徐々に細胞質全体の値に近づくpH勾配が形成されていることが示唆された。また、膜からプローブまでの距離が段階的に異なるコンストラクトシリーズの構築を進めており、細胞質膜に効率的に局在するプローブの作製に成功した。また、超解像顕微鏡を用いた計測により、膜局在プローブの詳細な可視化ができるようになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に実施した膜貫通領域とpHプローブの間の距離見積もりにより、細胞膜直下から細胞の中心部に向かうpH勾配が形成されていることが示唆された。また、細胞質膜に効率的に局在するプローブの作製に成功しており、これを超解像顕微鏡を用いて計測することで、プローブの詳細な可視化ができるようになっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、バクテリア細胞だけでなく、真核生物を用いた計測も行い、細胞機能における局所pHの意義と役割を明らかにする。計測の対象としては、細胞性粘菌の細胞運動を利用することで、局所pHダイナミクスを計測するとともに、局所pH環境が形成される分子機構を明らかにする。
|
Research Products
(5 results)