2021 Fiscal Year Annual Research Report
Direct observation of solute random clusters formed in Mg alloys
Publicly Offered Research
Project Area | Progressive condensed matter physics inspired by hyper-ordered structures |
Project/Area Number |
21H05551
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江草 大佑 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80815944)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | Mg合金 / 電子顕微鏡 / クラスター / STEM / LPSO |
Outline of Annual Research Achievements |
Mgに微量の遷移金属元素および希土類元素を添加した合金は、顕著な高強度を示すと共に特異な規則構造を有する長周期構造(LPSO)相を形成することから注目されている。LPSO相の構造は溶質元素間の相互作用に誘起された超秩序構造であるL12型クラスターにより特徴づけられるが、その形成過程については明らかとなっていない。本研究では電子顕微鏡法を用いた直接観察によりMg合金中の溶質原子クラスターの構造を解析し、格子間原子導入を特徴とするL12型クラスターの形成過程を明らかとすると共に、相安定性などのマクロな材料特性に及ぼす影響を検討する。 令和3年度は「希薄Mg合金における溶質クラスター構造の解明」に取り組み、複数のプローブを用いた系統的な調査により、希薄Mg合金においては従来想定されていたL12型クラスターとは異なる局所構造が形成されていることを確認するとともに、解析結果をもとに新規クラスター構造モデルを提案した。 令和4年度は「希薄Mg合金の力学特性に及ぼす溶質SRO構造の影響解明」、「実験的検討による新奇超秩序構造の探索」にそれぞれ取り組み、ナノスケールで疎に分散した超秩序構造の解析手法を確立するとともに、超秩序構造が材料特性に及ぼす影響について調査を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は下記に取り組み、当初の想定以上の進展を得た。 ・希薄Mg合金における溶質クラスター構造の解明 溶質を含む濃化層が微細分散された希薄Mg合金を対象に、電子顕微鏡および放射光を用いた測定により溶質短距離秩序(SRO)を解析し、従来想定されていたL12型クラスターとは異なる局所構造が形成されていることを確認した。解析結果より、L12型クラスターに対して対称性が低下した溶質配置からなるクラスター構造モデルを提案した。分光法を用いた電子状態の測定により、提案されたクラスター構造モデルでは擬ギャップ形成に伴う電子系での利得による安定化が起きていると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策 令和4年度は以下の課題解決に取り組む ・希薄Mg合金の力学特性に及ぼす溶質SRO構造の影響解明 測定対象としている希薄Mg合金は、熱処理に伴って力学的特性が変化することが先行研究より明らかとされている。そのため熱処理材を対象に、溶質SROを主とした材料組織の変化を実験的に調査し、力学的特性に及ぼす影響について調査を行う。 ・実験的検討による新奇超秩序構造の探索 第一原理計算にもとづく予備的な調査によりMg-Al-Y-X(Xは白金族元素)系においては、X元素が格子間位置に局在したクラスター構造を形成する可能性が示唆されている。本検討では、候補合金系を対象に電子顕微鏡法を中心とした解析により、新奇超秩序構造形成の可能性を調査する。
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