2021 Fiscal Year Annual Research Report
Strain engineering for the precise arrangement of oxygen vacancies in functional oxide materials
Publicly Offered Research
Project Area | Progressive condensed matter physics inspired by hyper-ordered structures |
Project/Area Number |
21H05561
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高津 浩 京都大学, 工学研究科, 講師 (60585602)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 応力 / トポケミカル反応 / 酸素空孔 / 機能性酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「応力下の低温トポケミカル反応」を用いて様々な酸素空孔相をもつ物質を開発することに成功した。また、酸化物をプロトン化し、続く脱水反応を施すことが酸化物から多量に酸素イオンを取り除くことができる強力な還元方法になることを見出した。研究の具体的な成果は以下のとおりである。得られた成果は論文にまとめた。
① SrVO2.6N0.6:酸素空孔が秩序化したSrVO2.6N0.6に対してCa置換を行った。粉末試料ではSr1-xCaxVO2.6N0.6のx = 0.2まで合成に成功した。一方、化学応力では酸素空孔の配列周期に変化は現れないことが分かった。すなわち、SrVO2.6N0.6の酸素空孔の制御には基板からの二軸応力が重要であることが分かった。本成果は論文にまとめJ. Phys. Soc. Jpn.に投稿した。薄膜合成ではVN等の不純物の析出があり、合成条件のさらなる吟味が必要である。
② SrCoO2:SrCoO2.5の薄膜を合成し、電気化学的にプロトン(H+)を挿入したのちに昇温脱水によって安定な水(H2O)取り除くことが強力な還元反応になることを見出した。この新しい還元反応をもちいてSrCoO2.5薄膜から、四本脚スピンチューブ構造をもつ新物質SrCoO2を得る事に成功した。また、XAS測定などを行い、この反応の鍵はプロトン化によってCoO6八面体が著しく歪むことであることを見出した。この歪み(応力)を活用することで、脱水反応が進行したと考えられる。本成果は、JACS誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基板応力を応力下の低温トポケミカル反応による物質を開発することに成功しているため。また、酸化物のプロトン化経由反応が強力な還元方法になる事も見出し、新しい酸素空孔相を創る手法になることが分かってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
① 2021年度の研究を通じて、酸素空孔秩序をしめす新物質の合成にいくつか成功したので、2022年度はそれらを基盤に課題をさらに進展させる。具体的には、酸化物のプロトン化経由反応を用いて、ルチルやペロブスカイトなどの酸化物にプロトンを導入した後に脱水することで新しい酸素空孔配列を持つ機能性酸化物材料を開拓する。酸素空孔制御の相乗効果を最大限に引き出して物性開拓につなげる。
②2021年度の研究で開発した新規物質に対して放射光施設にて蛍光X線ホログラフィー等の実験を行い、超秩序構造科学の観点から本研究の理解の深化を目指す。具体的には、酸素空孔秩序配列や異価数元素の配置を蛍光X線ホログラフィー等の実験から明白にする。
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Remarks |
プレスリリース:脱水を伴う新しい還元反応の発見 -電気化学反応と脱水反応を組み合わせた新しい機能性材料の開拓- 2021年10月 - 2021年10月
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[Presentation] 極性金属と極性絶縁体の間における固溶体合成2022
Author(s)
村山 寛太郎, 石田 耕大, Cedric Tassel, Xiangyu Gu, 高津浩, 陰山洋, 有田亮太郎, Craig M. Brown, Valerie Dupray, Simon Clevers, 酒井英明
Organizer
日本セラミックス協会 Annual meeting 2022
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