2021 Fiscal Year Annual Research Report
Visualization and control of ordered structures of bismide III-V compound semiconductors toward revealing the mechanism of their functions
Publicly Offered Research
Project Area | Progressive condensed matter physics inspired by hyper-ordered structures |
Project/Area Number |
21H05566
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
富永 依里子 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (40634936)
|
Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
|
Keywords | Bi系III-V族半導体半金属混晶 / 分子線エピタキシー法 / 秩序構造 / 低温成長 / 蛍光X線ホログラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、Bi系III-V族半導体半金属混晶の特性を生かしたデバイス応用先として、光通信帯光源が利用可能なテラヘルツ波発生検出用光伝導アンテナ(PCA)や動作特性が温度変化に対して変動しない新規光通信用半導体レーザを挙げている。当該年度は、前者のPCA用半導体材料と位置付けている低温成長GaAsBiの分子線エピタキシャル(MBE)成長と結晶性評価について重点的に取り組んだ。GaAsBiは、MBE法を用いてGaAs基板上に220oCと250oCで低温成長した。Bi組成は、ラザフォード後方散乱法(RBS)の結果を基に算出した。試料の成長後、ラングミュアの吸着等温式に基づく低温成長GaAsBiの成長モデルを用いてBi組成を計算し、実測値と比較した。この成長モデルはカナダのブリティッシュコロンビア大学のグループが成長温度270oC以上の場合に提案しているものであり、本研究では成長温度が250oC以下の場合のモデル適用を検討した。その結果、Bi原子が表面上を十分にマイグレートできなくなることを表す0 < c < 1のパラメータを導入すると、一つの試料のBi組成がよく再現できた。これを基に、MBE成長作業前に成長条件を設定し、その通りに成長した全てのGaAsBiのX線回折(XRD)カーブは、GaAsBiの結晶構造を閃亜鉛鉱構造と設定した場合の動力学的回折理論に基づくシミュレーションカーブとよく一致した。Bi組成もRBSによる測定結果と一致した。また、XRD逆格子マッピングから、GaAsBiはGaAs基板上にコヒーレント成長していることを確認し、250oC以下という低温成長であっても、閃亜鉛鉱構造のGaAsBiがエピタキシャル成長するということを示す結果を得た。このようにして成長した試料を、当学術変革領域『超秩序構造』内の共同研究として蛍光X線ホログラフィーでプレ測定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度、当学術変革領域『超秩序構造』の研究に必須の、結晶性や膜厚、組成、成長温度の異なる低温成長GaAsBiを種々MBE成長することができ、領域内共同研究によって蛍光X線ホログラフィーのプレ測定も行うことができた。これにより、研究代表者が申請代表者となって大型放射光施設SPring-8と放射光実験施設Photon Factoryの次年度のビームタイム申請にどちらも採択され、当学術変革領域内の公募研究を確実に遂行する研究成果と準備状況を示すことができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究助成二年度目は、初年度に得た低温成長GaAsBiを用い、大型放射光施設SPring-8と放射光実験施設Photon Factoryにて蛍光X線ホログラフィーを測定し、結晶内のBiやAs、Gaの原子配置を明らかにする。SPring-8では厚さ200nmの低温成長GaAsBiに重点を置き、Photon Factoryでは厚さ2μmの低温成長GaAsBiとその原子配置の温度依存性の測定に重点を置く。これにより、本研究の目的である「Bi系III-V族半導体半金属混晶の機能発現の由来解明」に繋がる知見を得る。
|
Research Products
(3 results)