2021 Fiscal Year Annual Research Report
Fe-Fe原子相関を超秩序構造とした不規則鉄合金の構造可視化
Publicly Offered Research
Project Area | Progressive condensed matter physics inspired by hyper-ordered structures |
Project/Area Number |
21H05567
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石松 直樹 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (70343291)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 磁気体積効果 / Fe合金 / 広域X線吸収微細構(EXAFS) / 逆モンテカルロ法 / Fe-Fe相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
異種の金属原子が結晶格子を不規則に変位して配列する不規則合金はこれまで構造モデル化が難しく,原子の配置を結晶として平均化した長距離構造のモデルで説明されてきた.しかし広域X線吸収微細構造(EXAFS)によって元素選択的に短距離構造(< 5Å)を捉えると,不規則鉄合金の原子間距離は一様でなくFe-Fe原子対が他より長い原子間距離を持つことが見出されている.本研究ではEXAFSより長い中距離構造(> 20Å)を見る二体相関分布関数(PDF)をEXAFSと組み合わせることで,構造を平均化しない鉄合金の新たな秩序構造(原子対のネットワーク)の可視化を目指す.特に本研究ではこれらの放射光実験データを同時に満たす中距離スケールの(> 20Å)合金構造を逆モンテカルロ法を用いて導出し,原子レベルでの磁気体積効果発現のメカニズムを調べた.R3年度は熱膨張ゼロのインバー効果を示すFe65Ni35インバー合金について,強磁性と常磁性状態での合金構造の違いを見出し,磁気体積効果の起源がFe-Fe間距離の伸長であることを明らかとした.インバー合金ではFeと同じ強磁性元素のNiが存在するのに,Fe-Ni,Ni-Ni原子間距離ではこの伸長が見られない点が興味深い.この結果を論文発表しプレスリリースも行った.また,Fe65Ni35よりNiリッチで圧力誘起インバー効果を示すFe-Ni合金の合金構造解明にも着手し,現在その結果を論文にまとめている.また3元Fe合金のステンレス合金の合金構造の可視化も試みている.他の原子対よりも磁気体積効果により伸長したFe-Fe原子対を「超秩序構造」と捉え,計画班メンバーが得意とする解析・実験手法との連携も進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3年度ではSPring-8でのX線回折実験,X線吸収実験の圧力下測定を行い,順調にデータを取得している.また圧力媒体を静水圧性の高いヘリウムに変えた加圧実験を進め,高い精度の測定も行っている.R3年度では研究計画に記述したX線全散乱測定(PDF)測定まで着手できなかったが,R4年度7月にビームタイムが確保され,実施の予定である.論文は出版が1件,投稿予定が1件である.このため概ね計画通りに進んでいると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,放射光実験の継続と成果発信に努めると同時に,研究室での物性測定と試料作製を進める.X線全散乱測定に適したFe-Pt合金を作製し,EXAFS測定とX線全散乱測定の実施を計画している.既にFe-Pt合金の一組成は作製を終えている.また逆モンテカルロシミュレーションから得られた3次元合金構造の圧力変化や組成依存性について,定量的かつ視覚的な解析手法の開発も進めたい.以上のように,多角的な実験と解析から磁気体積効果の起源に原子レベルから迫り,論文化と成果発信に努める.
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Research Products
(5 results)