2021 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光コントラストを用いた内視鏡下3D腫瘍イメージング
Publicly Offered Research
Project Area | Comprehensive understanding of scattering and fluctuated fields and science of clairvoyance |
Project/Area Number |
21H05592
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 隆宏 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10722829)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 光線力学診断 / 蛍光腫瘍診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
内視鏡手術による低侵襲癌治療の普及が期待される一方で,腫瘍組織の形状や深達深さを根拠にした適応症例の絞り込みに課題がある.腫瘍組織を高感度に検出可能な蛍光内視鏡が臨床応用されているが,適応診断に必要となるサブmmの空間分解能を達成する内視鏡技術は現在存在しない.本研究では,リアリティの高い蛍光像データセット生成と深層学習モデルの構築により,組織内光伝搬の波長依存性により生じる蛍光コントラストを用いた内視鏡下の3D腫瘍イメージングを実現する.今年度は,胃粘膜の組織構造をフラクタルな屈折率分布により表現する手法と光伝搬計算の実装を目的とした.フラクタル構造により表現された屈折率分布に対して,ビーム伝搬法[A.K.Glaser他: Optica(2016)]を基にしたシミュレーション環境を構築した.生体組織中に含まれる蛍光体への励起した際の,組織内光フルエンス分布の計算を実施した.フラクタル構造で表現される屈折率分布をもつ対象へ光照射した際に,波長により深達長が異なる様を再現できることを確認した.光学実験の準備として,二波長励起の蛍光観察光学系を構築した.光学特性値が既知な環境において,二種類の異なる励起光波長により取得した蛍光像を用いて,蛍光強度比を解析することにより,蛍光体深さが推定できることを確認した.シミュレーションにより,光学特性値の変動によって推定確度に与える影響を評価し,機械学習による深さ推定に向けた必要パラメータを決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,研究推進のコアとなる,シミュレータの構築と光学系の実装が完了し,原理実証実験のための環境が完了したため.
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Strategy for Future Research Activity |
・蛍光像コントラストのデータセット作成 蛍光撮像過程は,励起光の組織内伝搬,蛍光分子の光吸収・発光,蛍光の組織内伝搬からなる.昨年度実装した光伝搬計算と,取得済のPpIX吸収係数・発光量子収率とブタ胃壁に関するサイズパラメータから,組織表面の蛍光分布を計算し,内視鏡による取得蛍光像を生成する.励起光については,蛍光像コントラストが組織深さ1mm周辺で最大となる405nmと505nmのペアを軸に,適応診断で特に重要な0-2mm領域で,平均コントラストが最大となる波長ペアを検討する.GPUサーバーを導入して,効率的に膨大な蛍光コントラスト像と腫瘍組織の学習データセットを作成する.
・深層学習モデルによる3D計測の実証 構築したデータセットを用いて,蛍光像コントラストから腫瘍組織の3D構造を復元する深層学習モデルを構築する.適用診断に重要となる,組織表面から1mm以深で,0.1mmの空間分解能を目標に,モデル選択やパラメータチューニングを行う.構築した深層学習モデルを用いて,腫瘍組織深達マップを生成し,T1a, T1b1, T1b2の分類を実証する.
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