2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of transient absorption spectroscopy under the transmission condition through the scattering media
Publicly Offered Research
Project Area | Comprehensive understanding of scattering and fluctuated fields and science of clairvoyance |
Project/Area Number |
21H05594
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
太田 薫 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 学術研究員 (30397822)
|
Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
|
Keywords | 波面制御法 / 超短パルス光 / 透過行列 / 過渡吸収法 / 時間分解分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
光学的に不透明な媒質をレーザーなどのコヒーレント光が透過する際には、多重散乱が起こりある特定の場所に光を効率よく集光することが非常に困難となる。本研究課題では、散乱体透過条件下における超短パルス光の波面制御法を応用した時間分解過渡吸収法の開発を目的としている。ここでは、プローブ光の波面制御を行わずに、ポンプ光の波面制御のみで非線形光学信号を観測する手法を開発する。特に、透過行列(Transmission Matrix)の要素を決定する計測において、ポンプ光のみを用いるため、光学的には線形過程を用いた測定と等価になる。本研究課題では、まず波長800 nmの超短パルス光の散乱体透過後の透過行列の測定を行った。透過行列の位相共役を計算することにより、散乱体透過後のサンプルのある1点に超短パルス光を集光することができた。過渡吸収測定におけるプローブ光には、800 nmの超短パルス光によって生成される白色光を用いた。プローブ光は散乱体を通さずに、過渡吸収信号の検出を試みた。800 nm付近に強い吸収をもつレーザー色素溶液をサンプルに用いて、過渡吸収測定の光学系の最適化を行った。透過行列によりポンプ光を集光することで過渡吸収信号の増大することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、新たに導入した液晶空間変調器により、まず波長800 nmの超短パルス光の散乱体透過後の透過行列の測定を行った。また、原理検証のための過渡吸収測定の測定系をゼロから構築し、ポンプ光のみが散乱体透過条件下での過渡吸収信号を検出することができた。このため、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は測定系を改造し、ポンプ光とプローブ光を同軸にした条件下における過渡吸収信号の検出と測定条件について検討していく。
|