2021 Fiscal Year Annual Research Report
Deep Priorを用いた教師無し深層学習による脳内電流源推定
Publicly Offered Research
Project Area | Comprehensive understanding of scattering and fluctuated fields and science of clairvoyance |
Project/Area Number |
21H05596
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
滝口 哲也 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (40397815)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | 脳内電流源推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,未学習のDeep ニューラルネットワークにより表現される暗黙的な事前分布に着目し,頭の外側のセンサで非侵襲に測定したノイズを含む観測信号から,脳内電流源を予測する逆問題を解くことである.この問題は脳内の散乱現象の透視化に関係しているといえる.今年度は下記内容について研究を遂行した. (1)Deep Decoderによる電流源推定:これまでのDeep Priorを用いて推定された解は,ネットワークの初期値や学習回数により大きく変化し,安定しないことがあった.そこで今年度はパラメータ数が少ないDeep Decoderを用いて逆問題を解く手法を提案した.シミュレーションデータによる電流源の推定結果から,電流源の事前分布を表現可能であることが示された. (2)深さ重みを考慮した電流源推定:電流源推定の精度を向上させるため,電流源の深さ重みを考慮した解法を提案した.電流源推定の代表的な手法であるMinimum Norm Estimationは脳の表面付近に解が推定されやすいということが知られており,深さ重みを利用した偏りの補正が行われている.Deep Priorを用いた手法によって得られる解も何らかの偏りを持つと考えられ,深さ重みを考慮することによって位置推定の精度が向上することが期待される.提案手法の有効性を検証するため,右1次聴覚野および右1次視覚野における単一電流源の脳磁図データを合成し,深さ重みによる正則化を用いたときの電流源位置の推定誤差を評価した.その結果,適切な正則化パラメータを設定することで,位置の推定誤差が減少し,真の位置のまわりに電流源を推定できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,2つのサブテーマを設定して研究を遂行した.(1)ノイズへの過適合を避けるために,従来のニューラルネットワークよりもパラメータ数を削減したDeep Decoderを用いた電流源推定を提案した.評価実験では,シミュレーションデータとして刺激のオンセット後0.1秒において,50nAmのピーク強度を持つ電流源を右半球の1次聴覚野付近および1次体性感覚野付近に配置し,脳磁図データを合成した.得られた脳磁図データに計測ノイズを加算し(SNR: 21.6dB)電流源推定を行った.Deep Decoderを用いた電流源推定では,明示的に事前分布を与えることなくセンサ上の誤差の最小化だけで真の電流源の周辺に電流を推定することが示された.ただし,1次体性感覚野付近に電流源を配置したときの推定結果のほうが,1次聴覚野に電流源を配置したときよりも推定誤差が小さくなっていた.これは,1次体性感覚野の電流源の位置が,1次聴覚野と比べて浅い位置であったためと考えられる.(2)そこで電流源推定の精度をさらに向上させるために,電流源の深さ重みを考慮した解法を提案した.具体的には,ニューラルネットワークの誤差関数に深さ重みを考慮した正則化パラメータを新たに導入した.1次聴覚野における電流源に対して位置推定を行った結果,適切な正則化パラメータを設定することで,位置の推定誤差が減少し,真の位置のまわりに電流源を推定できることが示された. 査読あり国際会議予稿集1件,国内講演論文集2件の発表を行い,本申請課題は,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果をもとに研究をさらに遂行していく. - 研究代表者・協力者の間で,定期的に報告会を開催し,研究の進捗状況を協議する. - 同領域内の研究者とも定期的に話し合いを行い,新たな研究の可能性についても調査研究を行う. - 本プロジェクトを通じて得られた研究成果を国内外の学会などで積極的に研究発表を行う.また個人ホームページなどを通じて研究成果を広く公開していき,さまざまな意見をいただける機会を設け,新たな研究の可能性について検討する.
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