2021 Fiscal Year Annual Research Report
Microglial colonization into the brain and their heterogeneity in the embryonic brain
Publicly Offered Research
Project Area | Glia decoding: deciphering information critical for brain-body interactions |
Project/Area Number |
21H05624
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 祐季 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (10754955)
|
Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
|
Keywords | ミクログリア / マクロファージ / 脳室 / ライブイメージング / 二光子顕微鏡 / 脳発生 / 神経発生 / 大脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生早期の脳におけるミクログリアおよびマクロファージの細胞動態について解析を行い、周囲の神経前駆細胞や血管との相互作用に着目しながら研究を推進した。 ミクログリアが血管を足場にして移動するメカニズムについて解析を行い、血管を被覆する細胞であるペリサイトの関与についても調査した。ペリサイトがミクログリアの移動に関与するかどうかは解析中であるが、ペリサイトがミクログリアの生存維持や増殖を助ける機能を有することについて、ペリサイト除去マウスモデルでの解析、ペリサイトとミクログリアの共培養実験等を通じて明らかにした。抗Platelet-Derived Growth Factor Receptor beta (PDGFRb)抗体をin uteroでマウス胎仔脳室内に投与することによってペリサイトを除去すると、胎仔脳実質内のミクログリアの数が減少し、ミクログリアによる未熟な神経系細胞の分化を促進するはたらきが十分になされず、脳発生に影響が現れることを見出した。この研究は、2021年11月にJournal of Neuroscience誌にアクセプトとなり、2022年1月に掲載された(ジャーナルのFeatured Researchとして紹介)。 また、二光子顕微鏡を用いた胎仔脳in vivo観察システムの開発・改良に取り組み、胎生12日目や胎生13日目のマウスに対するライブイメージングが可能になった。この観察システムを利用して、生体内におけるミクログリアや脳室内腔マクロファージの動態について理解を深めることができた。その動態を制御するメカニズムについて、現在解析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って研究が進んでおり、順調である。一年目の目標であった二光子顕微鏡を用いた胎仔脳in vivo観察系の確立を達成することができた。また、胎生早期におけるミクログリアと脳室内腔マクロファージの挙動についても、ライブイメージング等を通じて理解を深めることができた。胎生早期に脳室内腔マクロファージが脳実質に侵入する現象を見出しているが、同胎齢のマウスから回収したGFP標識脳室内腔マクロファージを、in uteroで同じ胎齢の別個体のマウス脳実脳室内に移植を行うと、数日後には移植したマクロファージがミクログリアに性質変化することも発見した。したがって、マクロファージは実質に侵入後に周囲の環境シグナルを受容してミクログリア様の性質を獲得することが考えられる。すなわち、ミクログリアには脳室内腔マクロファージ由来の細胞も含まれる可能性がある。また脳室内腔マクロファージの実質侵入にあたっては、当初予想していなかったものの関与の可能性が浮上した。これらの実験結果に基づき、実験計画に若干の軌道修正を加えながら計画を推進している。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)脳室内腔マクロファージからミクログリアへと変容を促す環境シグナルの解明 脳室内腔マクロファージの他個体脳室への移植実験を通じて、脳室内腔マクロファージが実質に侵入してからミクログリア様の性質を獲得することを見出している。そこで、マクロファージと、実質中の細胞(神経系細胞、血管構成細胞、ミクログリア)との共培養を実施し、マクロファージの性質変化に何が寄与しているかについて評価する。次に、トランスクリプトーム解析を実施し、マクロファージからミクログリアへの性質変化を促進する分子について候補を絞る。その分子について、過剰発現あるいはsiRNAによるノックダウン、あるいはノックアウトマウスの解析により調査する。 2)ミクログリアの分布経路と多様性との関連性 ミクログリアには一部脳室内腔マクロファージの細胞も含まれることを見出した。脳室内腔由来かそうでないか、あるいは、実質に到着するタイミングなどの違いが、将来のミクログリア多様性に関連するかどうかについて解析を行う。シングルセルRNAシークエンス解析を通じて、個々の細胞の性質について評価する。 3)母体感染モデルにおける胎仔内内ミクログリアの動態や機能の変化 母体炎症時におけるミクログリア活性化と神経系細胞への影響について解析を行う。ウイルス感染を模倣したpoly(I:C)や細菌感染を模したLipopolysaccharideの母体腹腔内投与により母体炎症モデルを用意し、胎仔脳のスライス培養下ライブイメージングによりミクログリアの挙動や周囲の神経系細胞との相互作用の変化について調査を進める。
|
Research Products
(10 results)