2021 Fiscal Year Annual Research Report
Specific physiological functions of endothermic astrocytes
Publicly Offered Research
Project Area | Glia decoding: deciphering information critical for brain-body interactions |
Project/Area Number |
21H05632
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
柴崎 貢志 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (20399554)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Keywords | TRPV4 / アストロサイト / 温度 / 脳内温度 / 体温 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでは、脳ラジエター仮説に基づき、温まった脳内を血流循環で放熱し、脳平均温度を一定に保つと信じられてきた。しかしながら、果たしてこれは真実であろうか?熱を吸収できる細胞が存在し、これらの細胞群と血流循環・放熱の相乗作用で脳温を保つということはないのか?1細胞レベルでの温度分布を可視化する新規イメージング手法を確立した。そして、これを用いて培養神経細胞と培養アストロサイトの細胞ごとの温度状態を比較した。マウス脳から培養アストロサイトを調製し、生理的温度(37℃)環境における細胞内温度動態を解析した。環境温度(=体温)と同等の温度状体の細胞群が大部分を占めるが、一部に発熱状体あるいは、冷たい細胞が存在することを確認した。この中の冷たい細胞群に着目し、解析を進めた。冷たいアストロサイトが存在するのが「培養条件下」という人工環境によるアーチファクトである可能性を検証するために、マウス海馬の急性スライス標本を用いてアストロサイトの細胞内温度動態を解析した。この急性スライス標本内においても、環境温度(=体温)と同等の温度状体の細胞群が大部分を占めるが、一部に発熱状体あるいは、冷たい細胞が存在することを見出した。これらの結果から、生理学的条件下で脳内に冷たいアストロサイトが存在することを明らかにした。この冷たいアストロサイトにおいて、アストロサイトマーカーのGFAP、S100beta、AQP4の発現レベルを調べたが、環境温度(=体温)と同等の温度状体の細胞群と比較し、有意な違いを認めなかった。また、細胞内発熱の違いを調べたが、これらにも有意な違いは認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究申請書に計画した内容通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
温度イメージングで冷たいアストロサイトを同定後、マニュピレーターでガラス電極を操作し、細胞内にAlexa568色素を注入しラベルする。そのラベル化細胞を用いて、グリコーゲン染色、ミトコンドリア染色を行い、冷たいアストロサイトでその量に違いがあるのかを調べる。これらの実験から、冷たいアストロサイトが有する特異的な特徴を同定する。 冷たいアストロサイトが脳を冷やす吸熱性能を有しているのかを検証する。IRレーザーを用いて、正常アストロサイト(環境温度を示す)と冷たいアストロサイトの局所過熱を行う。そして、加熱時の細胞内温度上昇、周囲細胞の温度変化を温度イメージングで観察する。同時に、チャンバー内に申請者が開発したサーミスターを留置しておき、溶液温度の変化も測定し、冷たいアストロサイトでは、局所過熱した際にチャンバー内の溶液温度の変化が正常アストロサイトよりも少ないのかを検証する。そして、冷たいアストロサイトが吸熱細胞であることを突き止める。
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